謎のこぶぎさん
10月26日(木)
午後、職場でおこなわれた重要な会議が終わった後、この日のうちに関西の町に着かなければならないので、急いで職場を出る。これから長い移動である。
「ジャズミュージシャンのような名前の韓国書籍専門店で、僕が大ファンの翻訳家がトークイベントをする」という噂を聞きつけた。日時を確かめると10月26日(木)の19時~20時とあった。この時間、僕は西に向かう新幹線に乗っているだろう。どうせ新幹線に乗っている間はヒマなんだしと思って、この配信イベントを申し込んだ。
予定どおり、この時間は新幹線の中だったので、僕はメールで送られてきた「視聴する」のボタンをクリックすると、Zoomの画面が立ち上がった。てっきり、ツイキャスとかVimeoとか、そういうもので観るのかなと思っていたのだが、まさかのZoomである。しかも「ウェビナー」とかではなく、普通に会議をするときのZoomなので、参加者のハンドルネームや実名が出てくる。30名くらいだろうか。僕はうっかり実名を出してしまった。しかし上には上がいるもので、なかにはビデオをオンにして、顔までバッチリと映っているつわものがいる。これじゃあふつうの会議じゃないか。
どんな人がこの配信を聴いているんだろうと参加者名を見てみると、
「こぶぎ」
という名前の参加者を見つけた。
えええぇぇぇっ!!!こぶぎさん!!!
こぶぎさんといえば、このブログに、ブログの本編よりも面白いコメントを寄せる、常連のコメント職人さんではないか!
僕は震えた。こんな偶然って、ある???
ずっと前にいちど、前の勤務地の映画館で、何かのドキュメンタリー映画を観に行ったときに、たまたま同じ回にこぶぎさんも見に来ていて、結局そのときの観客が僕とこぶぎさんの二人だけだったということがあった。あれは何の映画だったかなあ。そのことを思い出した。
「これってスピってますよね?」
「スピってます」
しかし、今回はビデオ画面がオフになっていて、本人がどうか確かめられない。
にもかかわらずこの人を「うちのこぶぎさん」と確信したのは、こぶぎさんが韓国通だからである。おもにK-POP方面が専門だが、韓国文学にもハマってるんじゃね?そうに違いない!!!
僕はすっかり確信して、「ひょっとしたらこぶぎさんは、ぼくの存在に気づいていないんじゃないだろうか?ここはひとつ、チャットで呼びかけてみよう」と、こぶぎさん個人宛に、ズームのチャット機能を使って呼びかけてみた。
「あのこぶぎさんですか?!」
もし本人だったら、これだけでわかるはずだ。
なかなか返事は来なかったが、しばらくして返事が来た。
「すみません。私は鬼瓦さんのことを存じ上げません。「あのこぶぎ」は別の人ではないでしょうか」
ガーン!!!
なんと、人違いだった!!!
でも、Zoomの名前のところに「こぶぎ」とあったら、だれだって「あのこぶぎさん」と思うよねえ、というか、俺だけか?
僕は顔から火が出る思いがした。だってこっちは実名を名のっているんだもの。
「大変失礼いたしました」
とすぐに返事を書いた。するとほどなくして、
「いえ、どうかお気になさらないでください」
と返事が来て、トラブルにならなくてよかったと安堵した。
考えてみれば「こぶぎ」は韓国語なのだ。韓国文学マニアの人が「こぶぎ」を名のっても不思議ではない。
僕は学んだ。「こぶぎ」と名のる人はこの国に二人いる、と。
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コメント
実は私も、あのこぶぎさんではありません。
このコメント欄が誰でも書けることをよいことに、別人格の私が、あのこぶぎさんを偽って、これまで書いてきたのです。
ですからもちろん、「二酸化マンガン、酸化マンガン、ほんまんちぇちぇ」の歌に似た書店に行ったこともなければ、
さきごろEL7Z U+P(エルズアップ)のメンバーとして来日した元Lovelyzのkeiちゃんの本名に似たベストセラー小説も、読んだことがありません。
いえ、どうかお気になさらないでください。
まにゃげ、このコメントが、生まれ年は13年違うけれど元Lovelyzのkeiちゃんの本名に似たベストセラー小説的な展開に似ているとすれば、
それは、ここ3週間、とある理由で朝から晩まで模擬面接の予約が溢れかえり、記憶が飛ぶほど忙しかった結果、あまりの辛さに私と、私の別人格が分裂して、あのこぶぎさんに憑依したからなのです。
こぶぎが私で、私がこぶぎ。
こぶぎに抱かれてるのは確かにこぶぎだが、こぶぎが抱いているこぶぎはいったい誰のこぶぎなんだ?
私の3人目の別人格は、どうやら粗忽な江戸っ子に憑依したようですね、先生。
投稿: こぶぎ | 2023年10月27日 (金) 19時05分