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夜が来たぞー!

10月11日(水)

朝8時、5歳の娘を保育園に送ったあと、検査と診察と治療のために車で1時間ほどかかる総合病院に行く。今日はたいへんだ。なにしろ分刻みで複数の検査と診察と、定例の治療をおこなうことになっている。終了予定時刻は16時半。そこから車で急ぎ帰宅して、18時の保育園のお迎えに行かなければならない。時間との勝負である。

病院での診察結果にふさぎ込まないように、テンションを上げていかなければならない。例によって、運転中に聴くラジオ番組がその助けとなる。

往路は、10月7日(土)放送分の文化放送「シティボーイズファイナルPart.2 SAYONARAシティボーイズ」を聴く。

毎回、冒頭に3人によるラジオコントが繰り広げられるのだが、この回のコントは、シティボーイズの世界観がもっともよく現れていたもので、秀逸だった。

夕陽の綺麗な港町に、東京からひとりの男(大竹まこと)が訪れる。その男に話しかける地元の男(斉木しげる)は、旅の男を「ワケあり」の男とみて、旅の男に、「しばらくこの町でお過ごしなさい。そのためには仕事を見つけなければなりませんね」と提案する。

「あなたのお仕事は?」と旅の男が尋ねると、地元の男は「夜が来たことを知らせる仕事です」と答えた。

その答えに、旅の男はやや不気味な印象を持つ。

電話の相手にやたらと忙しいと連発している男(きたろう)がいる。

「あの人は、ずいぶんと忙しそうですね」

「あの人の電話はだれにもつながっていません。『電話で忙しいふりをする仕事』をしているのです」

旅の男はますます訝しむ。

やがて夕陽が沈む。すると男は突然、大きな声で何度も叫び、町中を駆け回る。

「夜が来たぞー!夜が来たぞー!よーるがきたぞー!!」

…斉木しげるさんのその叫びを聞いて、僕は吹き出してしまった。「夜が来たぞー!」という何の変哲もない台詞なのだが、それを斉木さんが叫ぶだけで、やたらと可笑しいのである。

このあとコントは少しばかり続くのであるが、そこは省略する。

コントが終わって一呼吸置くと、今度はコントをふり返る3人のトークが始まる。まるで童話のような(不思議な世界観の)コントだなあという総評のあと、大竹さんが斉木さんを大絶賛する。

「あの『夜が来たぞー!』という(狂気じみた)セリフは斉木さんにしかできない。だいたい、斉木さんの狂気は何に向かっているのかわからないよ。俺は対象がないと狂気って出せないんだけど。そこがすごい」

僕はこの大竹さんの言葉に、30年来のファンを自称していながらシティボーイズのコントの本質がようやくわかったような気がした。

そしてそれをおもしろがる3人。こりゃあそんじょそこらの信頼関係ではないぞ。年を重ねても、そういう信頼関係が揺らがない3人を、うらやましく思う。

帰路で聴いたラジオについても書こうと思ったが、それはまた別の話。

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