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思う壺

11月11日(土)

午後、5歳の娘をピアノ教室に連れていく。

そのピアノ教室は、繁華街の町の、著名な店舗がいくつも入っている建物の6階にある。

いつものように入口から入ろうとすると、入口のところに、大きな…、あれ、正式名称は何だろう?商店街の福引きなんかで、ガラガラとまわして色の付いた玉を出すヤツ…、ガラガラ抽選器が置いてある。どうやら、地下1階のゲームコーナーにかかわる抽選器のようで、その横には、「景品は地下1階で交換してください」みたいなことが書かれたのぼりが立っている。

それを娘がめざとく見つけた。というか、あんなに大きなガラガラ抽選器だったら、イヤでも目に入ってくる。

「あれ、やりた~い」

と娘が言い出した。そりゃあそうだろう。僕が5歳だったとしても、絶対にやりたいと言うはずだ。娘からこの言葉が出るともうおしまいだ。こちらがいくら否定しても後には引かない。しまいには大泣きして、こっちが悪いみたいな状況が作り出されてしまう。僕は何度か「ダメ」といったが、予想どおり娘は一歩も引かなかった。

僕はイヤな予感がした。「無料で景品に交換」みたいなことがのぼりに書いてあったからである。「無料」と謳っているほど怪しいものはない。

しかし娘はそこからテコでも動かないという意志を固めていたようなので、仕方なく1回だけガラガラをさせることにした。

すると、黄色の玉が出て、「お菓子引換券を差し上げますので、地下1階の店の奥のカウンターで、交換してください」と言われて、「お菓子引換券」と書かれた紙を渡された。

これが、ふつうの紙だったら、僕は娘に「残念、ハズレでした」と言い含めて、その引換券を捨てて地下1階には行かなかったであろう。しかし、敵はそういう心理を見越して、「お菓子引換券」にある工夫を凝らしていた。それは、紙にパウチをしていて、この引換券はくり返し使うものなので必ずお店のカウンターで交換してください、といわんばかりの作りになっていたのである。

僕が懸念していたのは、地下1階のゲームコーナーというのがクレーンゲームばかりを集めた空間で、店内に1歩入ったが最後、娘の欲望に火が付いてしまう。そうなると、無料のお菓子だけでは済まないことになる。

しかも「店内の奥にあるカウンター」というのもトラップである。否が応でもひととおりさまざまなクレーンゲームを目にしたあげくに、お菓子交換にたどり着く仕組みだ。そうなると、娘の欲望はますます加速してしまう。

どうしようか、逡巡したが、やはりパウチされた「お菓子引換券」をお菓子に交換しないのはキモチがワルい。仕方なく地下1階に降りることにした。

降りた途端、僕は後悔した。なんという、クレーンゲームのパラダイスだ!

早く店内のカウンターを見つけてお菓子を交換して、この場を立ち去りたいと思ったのだが、店内は迷路のようになっていて、否が応でもクレーンゲームのパラダイスの中をウロウロしなければならない。ようやくカウンターに辿り着いてお菓子引換券を渡すと、店員は10円相当のお菓子を渡した。

「さあ、帰ろう」

僕は早くこの場を立ち去りたかったが、まるでお釈迦様の掌の上で遊ばされているように、娘は「ゲームやりた~い」と言い出した。

奴らは、これが狙いだったのだ。大きなガラガラ抽選器に「無料でお菓子交換」という文句で小さい子どもを引き寄せて、なんとか地下1階に誘い出す。そうなるともう、クレーンゲームをやりたいと思わずにはいられなくなる。なんという騙しのテクニックだ!

僕は強引に、娘を連れてエスカレーターの地上階に出ようとしたが、「ゲームしたい!」と、娘は泣き出す始末。仕方なく「1回だけだよ」と、1回100円のクレーンゲームをするが、僕はこの種のゲームをまったくしたことがないので、目的の品をつかむことができない。

「失敗だったよ。さあ行こう」

100円をドブに捨てたようなものだ。

「お願い!取れるまでやって!」

また泣き始めた。こうなるともうダメだ。僕も腹をくくって、目的の品をつかむまで諦めないぞと誓った。

結局、何度か挑戦し、数百円かけてようやく目的の品を手に入れた。

結局、10円そこそこのお菓子ひとつで、数百円の出費をしたことになる。もう完全にお店側の思う壺だ。

「無料で抽選」は絶対にやめた方がよい。

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