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「時代の趨勢」ではかたづけられない

11月15日(水)

3日目の「高気圧酸素治療」も終わり、お昼前に「ひとり合宿」から解放された。

ふと思い立ち、途中下車して、あるE電の駅南口に隣接する本屋さんに立ち寄ることにする。僕はこの沿線に住んでいるので、この路線に乗るときに、時間ができれば途中下車をすることは何度かあったが、その本屋さんには、2,3回訪れた程度だった。その印象は、「品揃えは非常によく練られており、決して広くはない空間にメガ書店にまったく引けを取らない豊かさがあ」った(日野剛広『本屋なんか好きじゃなかった』十七時退勤社、2023年より表現をお借りしました)。なにより、地元が頼りにしている本屋さんだった。このE電の沿線には、そういう本屋さんが多い。

久しぶりに入口に立ってみて驚いた。立て看板が立っており、こんなことが書かれていた。

「お客様各位 大変残念ですが、当店は2024年1月8日をもって閉店致します。皆様のご利用によりこの地で40年以上書店として存在できた事は大変な喜びです。この地から退く事は大変な悲しみですが、時代の趨勢として受け入れざるを得ません。長い間本当にありがとうございました」

おいおい、閉店しちゃうのかよ!

店の中に入ると、それなりにお客さんがいる。本棚を眺めながら店内を歩いていると、お客さんが店員さんに向かって、口々にお店がなくなることの寂しさを語っていた。

「本当にやめちゃうの?」

「淋しくなるねえ」

「私はこれから、どこの本屋さんに行けばいいの?」

お客さんの声をそれとなく聞いていると、別の町からはるばるこの本屋に通っている人もけっこういるようだった。

しかし、40年も続いた本屋さんが、幕を閉じるとは。同じ町の南の方には、もう1軒、同じような規模で50年続いた、やはり品揃えがよく練られた本屋さんがあったそうだが、そのお店も2017年にすでに閉店している。

決してさびれた町ではないのに、しかも駅に隣接した一等地なのに、お客さんもそこそこいるのに、それにもかかわらず、閉店に追い込まれるというのはどういうわけだろう?

この先、本屋さんは「メガ書店」と「インディーズ書店」の二極化がますます進み、粛々と営んでいた「町の本屋さん」は、どんどん廃業していってしまうのだろうか。

いったい、だれを恨めばいいのか?

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