俺たちに未来はあるか
11月18日(土)
先週に引き続き、5歳の娘をピアノ教室に連れていく。
先週、「ガラガラ抽選器」の思う壺になってイタい目に遭った。今週も同じ場所にガラガラ抽選器が置いてあるのを見つけたので、先週とは違う入口から入ることで、事なきを得た。
そのビルの6階のフロアーはまるまる音楽教室になっていて、ピアノのほかにも、さまざまな楽器の教室がある。
娘を連れて何度かこの音楽教室に通っていると、あることに気づいた。
おそらく会社を定年退職して悠々自適に過ごしているのであろうオジさんの姿がちらほらみられるのだが、音楽教室を行き来するオジさんたちは、かなりの高確率で「アルトサックス」を手にしているのである。つまり、オジさんたちのほとんどが、アルトサックスを習っている。というか、アルトサックスを習っている人のほとんどが、定年退職後のオジさんなのだ。
僕は高校時代に、吹奏楽の部活に入り、アルトサックスを吹いていた。たしかにアルトサックスは、ひとりで楽器を習得するには手軽なのである。ほかの楽器と違って、音が出しやすいし、大きさも手頃だし、それを持ち歩いている姿もなかなか絵になる。そういう諸々の理由で、定年退職後のオジさんの間でアルトサックスがもてはやされているのではないだろうか。そうか、俺ももう一度アルトサックスを習ってみるかな、という気持ちにさせてくれる。
音楽教室のフロアには30部屋近くの個室があるのだが、娘がいつもピアノのお稽古をする部屋のはす向かいから、いつもアルトサックスの音が漏れ聞こえてくる。
練習している音楽が、ジャズとかフュージョンだったら、まあわかるのだけれども、そうではなく、練習している曲はドリカムの「未来予想図Ⅱ」なのだ。それも、延々と、くり返しくり返し、耳について離れないほど、アルトサックスの音色の「未来予想図Ⅱ」が聞こえてくる。アルトサックスだけなので、当然、バックバンドのようなものもなく、ひたすら、「未来予想図Ⅱ」のメロディーだけをもの悲しく吹いているのである。
おいおい、「未来予想図Ⅱ」を演奏したいためにアルトサックスを習ったのかよ!いや、それは別に人それぞれに好みがあるのだから、全然かまわないのだけれど、ただ僕自身が、せっかくアルトサックスを習いたいといったときに、課題曲が「未来予想図Ⅱ」というのは勘弁してほしい。もちろんいい曲だということはわかってますよ!でも2007年の曲ですよ!どうしてその曲をチョイスしたのか、逆に知りたい。
さてそうなると、どんな人が演奏しているのか、気になって仕方がない。そんなことを詮索するのが下品だということを百も承知で、やはりどうしても見たくなる。
僕はその部屋に何気なく近づいていって、ドアのところにある小窓みたいなところから見てみると、やはり定年退職後のオジさんとおぼしき人が、「未来予想図Ⅱ」を吹いていた。
いや、全然それはかまわないんです。かまわないんだけど、定年退職後の「未来予想図」って…。どんな予想図を思い浮かべながら演奏しているのだろうと、僕は切なくなった。
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