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ボランティア原稿

今週はほんとうに何もやる気が起きなかった。作成すべき書類はたくさんあるし、今月末締切の原稿もあるのだが、作業がパッタリと止まってしまった。何でもかんでも薬の副作用のせいにするなよ、と叱られるかもしれないが、こればかりは焦ってもどうしようもなく、ひたすら降りてくるのを待つばかりである。

某国のスジの悪いプロジェクトの担当者から、「原稿はどうなっていますでしょうか。進捗状況を教えてください」というさりげない催促が来た。もともと一昨年の年末に出すという約束をしていたが、それどころではなく、1年先延ばしにしてもらったが、やはり昨年末まで仕上げることができず、放っておいたら、先方も忘れておらず、軽い催促と相成ったのである。少しは書いているのだが、モチベーションはまったく上がらない。なにしろかなり長い文章の原稿を書くように指定されて、せっかくがんばって書いても、某国語に翻訳されて、この国はおろか、某国人にもほとんど読まれないのではないかということがわかりきっているのだから、いったい何のために書いているんだろうと空しくなる。

それに、五月雨式に原稿の依頼がいろいろなところから来て、それに応えるだけでも精一杯である。だが書いても書いても、儲かるわけではない。著者は買い叩かれ、雀の涙ほどの印税があるのはまだしも、原稿料が支払われない場合がほとんどである。先日聞いた話では、複数の執筆者によって書かれた本が、原稿料が支払われないだけではなく、たった1冊の本が現物支給されるだけで終わったという事例を聞いた。ふつうの出版社だよ。現物支給はやむを得ないとしても、1冊しかくれないというのは、遂にそこまで追い込まれてしまったかという感を禁じ得ない。本務がある人だったら業務の一環と割り切ってあきらめることもできようが、フリーランスのライターだったら、とても生活していけないではないか。

以前、ある外国人がこの国の出している本に原稿を寄せてくれたのだが、原稿料がなく現物支給であることを知って、「こっちは時間を使って原稿を書いているのに、なぜ原稿料が支払われないのか」とクレームを言ってきたことがあった。「だってしょうがないじゃん」とそのときほ思ったが、そんなことに慣らされている自分たちの方がどうかしているのではないかとも思い始めている。

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