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原稿料はお茶でした

以前にも書いたが、あるおカタい出版社から「職業的文章」の依頼が来て、引き受けたはいいものの、まったく書くことが思い浮かばないまま漫然と過ごしていたところ、「前の前の職場」の教え子であるMさんがある場所に案内してくれたことがきっかけで着想が浮かび、2週間で書き上げて送信した「職業的文章」を掲載した本がつい先日完成して、送られてきた。

まあどうしたって「付け焼き刃」感は否めないのだが、原稿を「落とす(書けない)」よりはマシだろうと開き直っている。

そもそも出版契約も交わしておらず、なかば口約束で引き受けた仕事なので、原稿料など望むべくもないだろうと思っていたが、そのとおりだった。送られてきたのは、完成した本2冊と、正方形の扁平な箱に入った軽い「何か」だった。

「ほんのお気持ちです」

と、1枚の紙にワープロ打ちした言葉が書かれていたのだが、何だろうと思って開けてみると、お茶のティーバッグの詰め合わせだった。

そういえばこの「正方形の扁平な箱」、見覚えがあるぞと思ったら、先日韓国を訪れた際に、韓国語を学んだナム先生からいただいた済州島特産のお茶のティーバッグの詰め合わせセットとまったく同じ規格の箱だった。中身はもちろん、日本の緑茶である。

原稿料はお茶なのか…と、僕は苦笑した。

最近はお茶のティーバッグをいただくことが多い。先日のナム先生の済州島のお茶や、原稿料代わりの緑茶だけでなく、中国出張から帰ってきた友人に「お土産です」と渡されたものが、やはり中国のお茶のティーバッグだった。お茶のティーバッグは軽いので、渡す方も受けとる方も、お土産としたちょうどよいものなのだろう。

これでしばらくお茶には困らなくなった。

僕はいままで、真冬でも冷たい麦茶ばかり飲んでいたので、温かいお茶を飲む習慣がなかった。健康に悪いと家族には叱られていたのだが、これを機に、温かいお茶を飲むことに決めて、家ではせっせとお茶を飲んでいる。

到来物なのでこれがまた美味いんだ。

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