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続・前のめりな人

以前に「前のめりな人」という文章を書いた。

ふり返れば、40代前半頃までは、僕も前のめりな人間だったのかもしれない。しかし6年半ほど前に大病を患ってからは、あまりガツガツと仕事をすることができなくなった。

タモリさんがよくいう、

「やる気のある者は、去れ!」

という心境が、いまとなってはよく分かる。

なぜそんなに生き急いでいるのですか、と聞きたくなるような人をたまに見かける。限られた時間でいくつもの仕事をこなそうとする。

これもしなければ、あれもしなければ…、と、一日で全部片づけようとする人がいた。自分はこの仕事の第一人者である、という自負があるのか、それとも、功を急いでいるのか、よくわからない。

「そんなに無理する必要はありませんよ。時間はたっぷりあるのですから。なにしろいまはまだ『仕込み』の段階でしょう?そんなに結論を急ぐことはありません。そんなに早く結論を出してしまったら、面白くないでしょう」

というようなニュアンスをにじませた言葉を、やんわりと言ったりするのだが、たぶんそんなニュアンスはまったく伝わっておらず、それでもその人は、使命感に燃えている。

もちろん、前向きに仕事に取り組んでいただけることはこちらとしてもありがたいと思い、つい、その人に頼りっきりにしてしまうこちらの側にも反省はある。

やはりここでも大事なキーワードは「ブレーキ」だ。

いつの間にか、僕がブレーキを踏む側にまわっていることが多いことに気づく。たぶんそれは、いいことなのだろうと思う。

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