主治医
4月25日(木)
車で1時間半ほどかかる総合病院に定期的に通っているのは、7年ほど前に大病を患った時にお世話になった病院だからである。その後引っ越してしまったために、病院まで行くのが遠くなってしまった。
主治医の先生は僕よりも若いが、愛想はないけれど腕は確かな先生だと思っている。僕の身体に何かトラブルがあると、数ある選択肢の中から臨機応変に治療法を変えてくれる。あたりまえのことなのかもしれないが、そのおかげでいままで生きながらえている。
いま服用中の新薬もなかなかよい効果をもたらしているおかげで、病気の進行は抑えられている。仕事も支障なくできている。ただ、その分副作用が辛い。
いちばん辛いのは、両足の裏が荒れていて、一歩一歩踏みしめるたびに激痛が走ることである。自然と歩くスピードは遅くなり疲れやすくなる。しかしこれはこの種の薬にはよくある副作用なので、だましだましつきあっていくしかない。
最近いちばん困っているのは、左足のすねの部分にできた大きな膿である。痛いのを我慢して絆創膏を貼っていたら、いよいよ痛みがひどくなり、1週間ほど前に地元の皮膚科に行くと、「どうしてこんなになるまで放っておいたの!」「どうして主治医にこのことを言わないの!」と皮膚科の院長先生にひどく叱られた。塗り薬を処方されたけれども、いまに至るまで痛みは変わらない。
今日は1か月に1度の定期の診察日である。採血・採尿して、とくに数値に変わりがないことを確認すると、僕は先生に副作用のことについて打ち明けることにした。
「両足の裏の痛みは副作用としてよくあるので諦めているのですが、最近、左足のすねの部分に大きな膿ができまして、これがなかなか治らないんです。地元の皮膚科の先生に診てもらうと、『どうしてこんなになるまで放っておいたの!』と叱られてしまいました」
そう言うと、ふだんぶっきらぼうの主治医の先生が少し笑った。
「あのー、これも副作用でしょうか」
「厳密に言うと、副作用というわけではないかもしれません。何かのきっかけでスネに傷ができると、そこにばい菌が入って化膿するのですが、いまの薬を服用していると、それがなかなか治りにくくなるのです」
なるほど、どうりでいつまで経っても治らないわけだ。
「これはずっと治らないものなのでしょうか?」
「そんなことないですよ。適切に処置すれば、時間はかかるかもしれませんが治ります。皮膚科から塗り薬をもらっているならば、次第に治ってきますよ」
と言ってくれたのだが、その「適切に処置すれば」という条件を、通っている皮膚科が満たしているかどうかが不安である。
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