悲しき遊歩道
6月16日(日)
ピアノ教室を退会することになったにもかかわらず、数日前から小1の娘はテンション上がりまくりである。
日曜日の午後に、学校のお友だち数人と近くの遊歩道で遊ぶ約束をしたというのである。
それが楽しみで楽しみで仕方がないらしい。
前日に、自分なりの段取りを考える。そうだ、お菓子を一人ひとりに配ろうと、家の中を探し、人数分のキャンディーを見つけた。それをカバンに入れて明日持っていこうと考えている。
お風呂に入っても、髪を洗う時にふだんしていないリンスをして、お風呂から上がると自分でドライヤーを使って髪を乾かしている。
「楽しみすぎて眠れない」
というのだが、よくよく聞いてみると、何時に集まるとか、具体的なことは何も決まっていない。
「それ、ほんとうに約束したの?」
「うん」
「明日、みんなはほんとうに来るの?」
「だって約束したもん」
僕は、先日「タコ公園」で、初めて会った女の子に「来週同じ時間にこの場所で会おうね」と約束されたにもかかわらず、娘が行ってみるとその女の子は来なかった、つまり約束を反故にされたという体験を思い出した。
今回もそのパターンなのではないだろうか?
さて当日。
日ごろ朝寝坊の娘は、この日ばかりは早く起きて、「早く遊歩道に行きたい」という。
「約束は午後でしょ?午前中に行っても誰もいないよ」
「でも来るかもしれないじゃん」
仕方がないので家を出て遊歩道までついていくと、やはり誰もいない。
「ほら、誰もいないでしょう?」
「いいの!」
「さ、もう帰ろう」と言ったそのとき、たまたま遊歩道に隣接するマンションの1階から、聞いたことのある声が聞こえた。遊ぶ約束をしているHちゃんである。Hちゃんの部屋は、1階にあったのだ。
娘は急いでHちゃんのマンションの部屋の前まで走った。マンションの1階は当然、外からは見えないように遮蔽している。娘はその遮蔽された壁越しにHちゃんと話した。その内容は驚くべきものだった。
何人かで遊ぶ約束をしていたのは、実は昨日の土曜日で、娘以外のメンバーはすでに集まって遊んでしまったというのである。
ガーン!日にちを間違えた!
しかし娘はそんなことではへこたれなかった。Hちゃんの今日の予定を聞き出したところ、いまから家族で小金井公園に行くというので、そこで一緒に遊ぼうという約束を取り付けたのである。
しかしこれも厳密に言えば、具体的な約束はしていない。
娘とHちゃんとの会話によると、どうやらHちゃんの家族は10時に家を出て、小金井公園の「自転車のりば」のところにいるという。
娘は、「じゃあそこに行くね」と約束してしまった。
またもやざっくりとした約束である。
僕は急遽、娘を車に乗せて小金井公園に向かった。
小金井公園は車で行ったことがなく、「自転車のりば」という場所も、公園のどこにあるのかわからない。
何とか小金井公園に着き、「自転車乗り場」らしき場所に到着したが、肝心のHちゃん一家の姿が見当たらない。というより、ものすごい数の、同じような家族たちがこの場所で遊んでいて、見つかるはずもない。
「こんな広い場所で、こんなにたくさんの人がいる中で、Hちゃんを見つけるのは無理だよ」
娘の機嫌はどんどん悪くなる。打つ手なしか…、と思っていたら、そういえば以前、お互いの家族同士でグループLINEを設定していたことを思い出し、ダメ元で、「いまどこにいますか?」と聞いてみた。
するとしばらくして動画が送られてきた。ここにいますよということらしいが、その20秒ほどの動画を見ても、公園内のどこにでもあるような風景が映っているだけで、よくわからない。
しかしエラいもんで、動画をくり返し見ているうちに、手がかりとなるものの存在を見つけ、それにしたがって探していくと、とうとう居場所を突き止めた!
かくして娘とHちゃんは小金井公園で再会したのである。
そこからがたいへん!僕が財布を落としてしまい、こんな広い公園で財布を見つけるのは至難の業だ、と絶望していたところ、園内放送で、僕の名前が呼び出され、管理事務所に行くと財布がそのままの状態で届いていて事なきを得た、といったこともあり、「何て日だ!」とバイきんぐの小峠並みに叫びたい出来事がいくつもあった。
日にちを間違えて友だちと遊べなかった娘も、その中の一人であるHちゃんと遊ぶことができて満足そうだった。しかし、Hちゃんを探す娘の執念には恐れ入った。あれではまるでストーカーである。
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