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化け猫あんずちゃん

7月27日(土)

土曜日は小1の娘と2人で映画館に行くことがここ最近習慣化している。

子どもも楽しめる新しい話題作が登場するのは8月になってからが多く、7月末はあまりなじみのない映画が多いような気がする。しかし娘は「アニメ映画が観たい」といってきかない。最初は「コナンが観たい」と駄々をこねたのだが、すでに1回観ているし、もう一度あの映画を見直すというのはかなり頭が疲れてしまう。

そこでほかにないか探してみると、『化け猫あんずちゃん』(久野遥子・山下敦弘監督)というアニメ映画がヒットした。時間も95分という手ごろな長さだ。僕は何も考えずにこの映画を予約することにした。

スマホで予約すると「MX4D席」とあった。前回は3Dを体験したが、こんどは4D体験なのか?座席とかが揺れたりするのだろうか。

「座席が揺れたりするかもしれないけど大丈夫?」

と娘に聞くと、娘は不安そうな顔をしたが、そこしかないので仕方がない。

かくして、どんな映画化もわからないまま、『化け猫あんずちゃん』を観ることにしたのである。

結果は、観てよかったと思える映画だった。

僕がいちばん嬉しかったのは、音楽を鈴木慶一さんが担当してたということである。鈴木慶一さんといえばムーンライダース。もうそれだけでも得をした気分だ。

不思議な映画だなあと思いながら余韻に浸りたかったのだが、娘が上映終了の5分前くらいになって、

「おしっこしたい」

と言いだした。

「あと5分で終わるから。…我慢できる?」

「うん」

さわやかに感動するラストシーンなのだが、娘のおしっこのことが気になってラスト5分は映画に集中できなかった。

本編が終わり、エンドクレジットが始まるやいなや、

「おしっこがまんできない」

と言い出したので、急いで映画館を出たのであった。

なかなかおもしろい映画だったと思い、あとからいろいろと調べてみると、この映画は、まずは実写撮影をして声をあてる俳優たちに演技をしてもらい、その映像をトレースしてアニメーションにするという「ロトスコープ」という手法を採用したそうだ。監督がふたりいるのも、実写撮影が山下敦弘さん、アニメーション担当が久野遥子さんという役割分担があったというわけだ。めちゃめちゃ手のかかる作業を経ているではないか。

得をした気分で映画館を出たが、

「いすがゆれなかったよ」

と娘が言った。そういえばMX4Dをうたっているのにたしかに座席が揺れなかった。たんにMX4Dの座席だというだけだったのか。

 

 

 

 

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