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郊外型巨大書店の憂鬱

9月15日(日)

小1の娘が絵日記をつけたいと言いだした。じゃあ絵日記帳を買いに行こうということになったのだが、どうせ行くのなら、駅前の文房具屋さんとかそういうところではなく、車でドライブがてら、川を渡って郊外の丘陵地にある巨大文房具店&書店に行ってみようということになった。

その巨大文房具店&書店は、以前にいちどだけ立ち寄ったことがある。すぐ近くで行われていた子ども向けのイベントに参加し、そのときに少しだけ立ち寄ったのである。噂には聞いていたが、広い店内に本や文房具が並んでいて、夢のような空間だなと思った。こんどはイベントとかは関係なしに、このお店で買い物することを目的に来ようと心の中で誓ったのである。そしてそのチャンスが今日、訪れた。

自宅からその場所までは、カーナビによると30分程度で到着するようなのだが、今日は日曜日ということもあり、道路は渋滞していた。しかも川を渡る橋は、ただでさえ渋滞しがちなのに、今日はさらに混み合っていて、途中昼食休憩をはさんだこともあり、11時に自宅を出て14時にようやく目的のお店に到着した。

店舗は広くて明るく、文房具や本がたくさん並んでいる。まさに夢の空間である。妻と僕は、なんとなく交替交替で娘の面倒を見て、一人ずつが書店に並んでいる本棚を見ることにした。

しかし、こんなに本がたくさん並んでいる巨大書店であるにもかかわらず、なぜかまったく心がときめかない。ふだんの僕だったら、本屋に入ったら最後、何かを買って帰らないと気が済まないのだが、この書店の本棚を見回しても、なぜか本を手に取る気が起きなかったのである。

それでも、せっかく来たのだから1冊くらいは、と思い、「へえ、こんな本が出ているのか~」と興味をそそった本数冊を手に取って中身をパラパラと見たものの、「うーん。この本をここで買う意味があるのだろうか?」という思いが強くなり、結局本棚に戻したのである。

理由はいくつか考えられる。自宅からこの店に来るまでずっと運転していたこともあり、ちょっと疲れてしまい、本を買う気力が削がれてしまったというのが一つ。

それと、最近は、新しい本に手を出すより、自宅の積ん読本を読むことに気持ちが傾いており、本を買うことにブレーキをかけてしまっているというのがもう一つ。

しかしそれ以上に思ったのは、(これはまことに身勝手な話だが)、本の選書とか並べ方が、なんとなく僕の好みに合わなかったのである。郊外型の巨大書店ということもあり、ターゲットは子ども連れの家族を想定しているからかもしれない。本当に本が好きな人が、わざわざここに足を運ぶだろうか、と考えた場合に、それに見合った選書がされているか、はなはだ心許ないと感じてしまったのである。くり返すが、これは僕の身勝手な感想である。

加えて(まだあるのかよ!)、広いお店であるにもかかわらず、店内には座る場所がまったくない。僕のような足腰に不安がある人間にはなかなか厳しい。子どもにはキッズスペースがあり、そこに子ども用の椅子がわずかにか用意されているのだが、そこでつきっきりで面倒を見る保護者の椅子はなく、それが僕には辛かった。とくに娘は、このキッズスペースが唯一気に入った場所のようで、ここから離れようとしないので、立ったままずっと見守ってなければならない。情けない話だが、途中から腰が痛くなってきた。

お店にはチェーン店のコーヒーショップが併設されていて、妻と子守を交替してからはそこで休もうと思ってお店に行くと、比較的広い空間であるにもかかわらずお客さんでごった返していて、ほとんど空席がない。そこまでしてここでコーヒーを飲むほどではないなあと思い直し、座って休むことを諦めた。

ようやく娘がキッズスペースに飽きたところで、帰ることになり、再び渋滞の中を自宅まで戻ったのであった。

結局、このお店で買ったのは、絵日記帳とぬりえ帳のみ。600円くらいの買い物で終わった。でもまあ、娘が楽しんでいたからいいか。この先、本を買う目的でわざわざこのお店に訪れることは、おそらくないだろう。期待値が高すぎたのかもしれないな。

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