釜山どうでしょう
8月31日(土)
釜山のホテルにチェックインしたのが午後5時30分頃。夕食のために再集合する時間が6時50分。その間は自由時間である。
僕はホテルの部屋に入って、どこにも行かずに休んでいたが、チームのほかのメンバーは、お土産を買いに行ったりしていたようである。
約束の6時50分に待ち合わせ場所のホテルのロビーに行くと、いちばん最後に今回のチームリーダーがホテルの外からあらわれた。
「どこに行っていたんですか?」
と聞くと、
「ぶらぶらと歩いていたら、大きな本屋さんを見つけたので、そこで自分の専門にかかわる本の本棚を眺めてきました。たまたま見つけた本屋さんだったのですが、なかなか充実した品揃えでしたよ」
「なんという本屋さんですか?」
「それがわからないんです」
大きな本屋さん、といってまず思い出すのは、韓国には生命保険会社が経営しているチェーン店の本屋さんがある。そこがいちばん有名な本屋さんである。
「K文庫かもしれませんね」
「そうですか」
「夕食後に寄ってみますか?」
「それはいいですね」
夕食後、みんなと別れて、チームリーダーと、その助手のような役割をはたしている若者、そして僕とで、K文庫を目指した。
夕食の場所から少し歩いたので、僕はだんだん足が痛くなってきた。どんどんホテルが遠くなる。しばらくしてそのK文庫に着いた。
「先ほど訪れた本屋さんはここですか?」
「いえ、全然違います」
「それでも有名なチェーン店の本屋さんなので、いちおう入ってみましょう」
中に入ると、意外と狭かった。品揃えもあまりない。
「うーん。さっき訪れた本屋さんの方が品揃えが充実していました」
「そうですか。ではそこへいきましょうか」
「ええ、でもどこにあるかまったく憶えてないんです」
チームリーダーが無類の方向音痴であることを思い出した。
それでも、「この近所の書店」と検索をかけて、片っ端から探していく。しかし本屋さんの前に立つたびに、
「ここだったっけなあ?ちょっと違う気がするなあ」
という言葉をくり返す。
何軒かまわったが、チームリーダーの記憶がまったくよみがえらない。
「近くに何がありましたか?」
「それがまったく憶えていないんですよ」
これほど、本人の記憶が頼りにならないことも珍しい、というかゼロ回答である。
「ま、歩いていれば思い出すでしょう」
「この近所の書店」で検索して、一番近い本屋さんを見つけた。
「ひょっとしてここではないですか?」
「うーん。わからないかあ」
わからないんかい!
「とりあえず、その本屋さんのあたりに向かいましょう」
その本屋さんを目指していくと、チームリーダーの記憶がだんだんよみがえってきたようだった。
「あ!このあたりの道を通ったかも知れません!」
「じゃあ、その本屋さんで間違いないですね」
「いまからそこに行きましょう」
「いえ、無理です」
「どうしてです?」
「営業が終了しています」
いまは午後9時10分。その本屋さんの閉店時間が9時と書いてあった。
「水曜どうでしょう」シリーズのサイコロの旅韓国編で、その土地の名物を食べられるかどうかをお店の前でカードを引いて決めるという場面があったと記憶しているが、お店の前まで来て、
「全員食えない」
というカードを引いてしまった心境と同じである。おかげで足は限界を迎えてしまった。
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