怪しすぎるレンタルスペース
10月23日(水)(続き)
さて、もうひとつ確認したい場所というのは、レンタルスペースである。
これについては少し説明が必要だ。
毎月最終週の金曜日、つまり「プレミアムフライデー」の午後は、僕が司会をしなければならないオンライン会議がある。
今月のプレミアムフライデーは、10月25日(金)だが、この日まで僕は西の町に滞在しなければならない。
ふつうだったら、代役を立てるか、日にちをずらしてもらうか、という選択肢もあるのだが、年度早々に組んでしまっている都合上、なかなかそういうわけにもいかない。
唯一の方法は一つ、僕が西の町からオンライン会議を仕切ることである。
幸い、本来の用務は遅くとも金曜の午前には終わるので、そのあとオンライン会議をすることは可能である。
このことを職場の事務担当の方に相談すると、
「ではそうしてください」
と言われたので、そうせざるをえないことになった。
問題は、オンライン会議ができる場所を探さなければならないことである。泊まっているホテルは、チェックアウトの日なので部屋を追い出されるし、駅の構内でよく見かける「ブース」みたいなスペースもないようだ。
そこで、このホテルの近くにレンタルスペースがないかどうかスマホで検索すると、ホテルから歩いて2分のところにレンタルスペースがあることを見つけた。
僕はさっそく、そのレンタルスペースを、オンライン会議の時間に合わせて予約することにした。予約の手続きはなかなか難しくて難儀したが、なんとか予約ができた旨のメールが届いたので、安心した。
しかし念のため場所を確認する必要があると思い、夕方、ホテルを出て、その場所を探すことにしたのである。
午後6時くらいになっていたので、辺りはすっかり暗くなっている。
地図の通りに歩いて行くと、途中で左に曲がるところがあって、大通りからいきなり路地裏のような道に入り込んでしまった。しかし、たしかにこの道である。
そのあと、もう1回左に曲がることになっているのだが、その道がさらに狭い。というか、人一人がようやく通れるくらいの道である。
ほんとうにこのあたりだろうか?それらしい建物は見つからない。
だがGoogleの地図が示す最終目的地は、目の前にあらわれたボロアパートを指している。廃墟のようなアパートである。
え、ここ?
どれだけボロいかというと、トイレ、お風呂が共同というむかしのアパートである。
僕はあっけにとられてそのまま立ちすくんでいると、ドアが開いて外国人とおぼしき女性が出てきた。
「どうかしましたか?」
と聞かれたので、
「あの…金曜日にレンタルスペースを予約したのですが、あらかじめ場所を確認しようと思って…。レンタルスペースはこの建物ですか?」
「なんというレンタルスペースですか?」
「○○○○という名前です」
「ああ、それならここです」
ええぇぇぇっ!!!此処なの???
「失礼ですけど、ここはみなさんが居住しているアパートですよね」
「ええ、まあそうです。レンタルスペースは中庭を通って2階に上がったところにあります」
「どうやって行けばいいのですか?」
「この1階、両側に部屋があって真ん中に廊下があるでしょう?」
「ええ」
廊下、といっても土間のような廊下である。
「この廊下を通ると中庭があります。中庭の右側に2階へ上がる階段があって、そこを上がるとレンタルスペースがあります」
「この廊下、通ってもいいんですか?」
「どうぞ」
廊下を通る際に、その外国人女性の部屋の扉が目に入ったのだが、扉には、「なんとかセラピー」みたいな貼り紙が貼ってあって、どうやらここで商売をしているらしい。
ほかにも、住居というよりも、事務所みたいな感じで部屋を借りている人が多いようだった。失礼な言い方だが、たしかにこんな場所には住めないよ。
言われるがままに中庭に出て、右側の階段を上ったところに「レンタルスペース」と貼り紙のある部屋を見つけた。たしかにここで間違いない。
でもビックリしたのは、引き戸だったんだぜ。試しにその引き戸を引いてみると、鍵がかかっていなかったらしく、開いたのだ!
おそるおそる引き戸を開けると、さらにもうひとつ引き戸があって、「土足のまま進んでください」とかなんとか、貼り紙が貼ってあった。
もうあたりは真っ暗だし、とても2つめの引き戸を開ける勇気もなく、早々と退散することにした。
ひとまず場所はわかったが、それでも僕には疑問が残る。だってホームページの写真では実に快適そうな空間だったのだ。
僕はだまされているのだろうか?その答えは金曜日にわかるだろう。
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