ゴディバ風のチョコレート
10月30日(水)
およそ季節ごとに1回、都内のクリニックで検査を受けているが、昨年までは、検査ごとに引っかかり、その都度2泊3日の「ひとり合宿」を行っていた。それが、今年に入ってなぜか検査に引っかかることなく、したがって2泊3日の憂鬱なひとり合宿から免れることになった。それだけでもずいぶんと気が楽である。
しかし今回は明らかに体調が悪い。僕は絶対に検査に引っかかると思い込み、絶望的な気持ちになった。
ところが今回も、「若干の懸念事項はある」としながらも、とりあえず検査はクリアして、ひとり合宿は免れた。
主治医の先生は、
「次回の検査は来年になりますね。よいお年を」
と、年内最速の「よいお年を」のお言葉をいただいた。
ふつうならば万歳三唱したいところだが、先生からは若干の懸念事項が伝えられたし、それにもしこの検査をクリアしたとしても、じゃあいまのこの体調不良の原因は何なのか?と、ますます不安になった。
検査は午前中に終わり、いつものように老夫婦で営業している小さなスパゲッティ屋さんに行った。
「あら久しぶり、どうぞ、今日は何にする?」
年に4回くらいしか来ないのに、なぜか僕を常連さんのように扱ってくれる。
僕は和風スパゲッティとアイスコーヒーを注文した。
食べ終わり、アイスコーヒーを飲んでいると、給仕をしている奥さんが来た。
「これねえ。もらったチョコレートなんだけど、美味しいのよ。私なんか、ついいくつも食べちゃってねえ。美味しいから食べてごらんなさい」
と、小袋に丸いキャンディみたいな形のチョコレートを僕にくれた。
僕はチョコレートに詳しくないので、わからないが、僕の少ない知識から検索すると、ゴディバ風のチョコレートという趣だった。食べてみるとたしかに美味しい。
食べ終わると、給仕をしている奥さんがやってきて、
「どう?美味しいでしょう?」
と聞いてくるので、
「ええ。これだといくつも食べたくなる気持ちがわかりますね」
と答えた。この答えはおべっかではなく、本心からである。
とくにそれ以上の会話を交わしたわけではないが、僕はすっかり常連さんになった気分で、
「また来ます」
とお店を出た。次は来年1月後半の頃の予定である。
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