ふうかちゃん
10月21日(月)
散歩から帰ってくるなり、学童から戻ってきた小1の娘が駆け寄ってきた。
「ねえねえ、明日ねえ、転校生が来るんだよ!」
ずいぶんと声が弾んでいる。
「転校生が来るの?」
「うん、それがねえ、保育園で一緒だったふうかちゃん」
「ふうかちゃん!」
ふうかちゃんはたしか、保育園の卒園後、違う小学校に通うことになったはずだが、保育園のお友だちがたくさんいる小学校に転校してくるというのだ。何か事情があったのかもしれないけれど、そんなことを詮索することなどできない。
「それにねえ、ボクの隣の席に座ることになったんだ!同じ斑なんだよ!」
「斑」というのは、一緒に給食を食べるグループのことをいうらしい。
「よかったねえ」
「うん。手紙も書いたんだ!」
また手紙か!手紙が好きだなあ。
「見せて」
「ヤダ、でも読んであげる」
といってその手紙を読み始めた。
「ふうかちゃんへ
はんいっしょだからよろしくね。きんちょうしたらなんでもゆってね。1-4くみはわらったりたのしいことばかりだからだからだいじょうぶだよ。ふうかちゃんともだちはいっぱいいるからだいじょうぶだよ。ふうかちゃん○しょうとちがうけどだいじょうぶだよ」
ふうかちゃんが緊張しないように、全力でサポートするらしい。
「ねえねえ、○○くんがヘンなことを言ってきたらどうしよう」
「○○くんはヘンなことをいうお友だちなの?」
「そういうわけじゃないけど…」
要らぬ心配までしている。
いまから、明日のシミュレーションを始める、というのも、これまで通りの展開である。
娘は終始「うれしすぎる」と言って、興奮状態だった。どれだけ興奮状態だったかというと、興奮しすぎて椅子から転げ落ち、テーブルの角に頭をぶつけてこぶを作って大泣きをする、というほどである。
まるでコントを見ているようで可笑しかった。
勉強なんてできなくったっていいんだ。そうやって人を思いやる人間になってくれればそれでいい。娘の手紙の朗読を聞きながら、そんなことを思った。
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