○○噺
11月30日(土)
入院してからというもの、ふだん聴いているラジオ番組やPodcast番組を聴かなくなってしまった。Barakan beatも聴かない。武田砂鉄さんや大竹まことさんのラジオ番組も聴かない。Podcastの雑談番組も聴かない。入院中ならばやることもないので聴きそうなものだが、僕の場合はラジオ番組などを聴く習慣が日常生活と密着していて、入院などの非日常的な環境に置かれると途端にその習慣にしたがうことに疲れてしまうのだろう。
そんな中で唯一聴いたのがTBSラジオ「武田砂鉄のプレ金ナイト」でピン芸人の街裏ピンクさんがゲスト出演した回である。武田砂鉄さんと街裏ピンクさんの対談の部分だけを聴いた。
街裏ピンクという芸人について初めて知ったのは、ずいぶん前に文化放送「大竹まことのゴールデンラジオ」で、週1レギュラーのきたろうさんが紹介しているのを聴いてからである。僕はきたろうさんの「お笑い鑑識眼」を信じているので、きたろうさんが面白いと思った芸人は絶対に面白いはずだと信じて疑わない。「可笑しいんだこれが」の一言がキラーワードだ。
YouTubeで街裏ピンクさんの漫談を観たらこれがやたらと可笑しい。最初から最後まで嘘の話をさも本当の出来事のようなリアルな口調で語る。ライブに来ているお客さんもそのファンタジーの世界に身を委ねて頭の中で想像しながら笑い転げている。
すでに指摘されていることかも知れないが、これは「鶴瓶噺」の虚言版である。「鶴瓶噺」は若い人は知らないと思うが、笑福亭鶴瓶師匠が、自分の身のまわりで起こったことを細部にわたって描写して面白可笑しく語る漫談だ。もちろん構成などが練られていて一種の新作落語とも言えるのだが、時折「(この話)ホンマやで!」という台詞が差し挟まれ、嘘のような本当の話が繰り広げられるのである。
街裏ピンクさんの漫談にも時折「ホンマやで!」の台詞が差し挟まれる。しかしこちらの方は完全な虚言版である。そのことをわかっていてお客さんは楽しんでいる。僕はそれに加えて「鶴瓶噺」を聴いているつもりで楽しんでいる。
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