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耳栓

11月27日(水)

4人部屋の隣にお年寄りの患者さんが入ってきた。

僕は同部屋の患者さんの姿は見ないことにしているので、声を聞いてどんな感じの人なのだろうと想像するしかないのだが、そのお年寄りの患者さんには驚かされた。

相部屋にもかかわらず、「もしも~し!もしも~し!」と、大声でひっきりなしに叫んでいる。

「もしも~し!助けてえ~!」

最初僕は、「ナースコール」というものを知らないのではないかと思い、代わりに僕のナースコールを押した。

「どうしました?」

「隣の方が呼んでいるみたいですよ」

しかししばらく経っても看護師さんは来ない。

ようやく看護師さんがやって来て、そのお年寄りの患者さんに「どうしました?」と聞くと、なにやら支離滅裂な答えをして、看護師さんもお手上げといった感じだった。

僕はその時点で、その叫び声が決して悪意からのものではなく、そういう事情を抱えた患者さんなのかと悟り、ひたすら大声で繰り返される「もしも~し!」の叫び声に対して、何も言わないことに決めた。

しかし隣でずっとその大声を聞いていると、さすがにこちらのメンタルがまいってしまう。とくに、仮に夜通し叫ばれてしまうと眠れなくなる恐れがある。

僕は午後に面会に来てくれる予定の家族に、「耳栓を買ってきてください」と頼み、探して買ってきてくれた。

ところが夕方になると、途端に静かになった。不思議に思って、トイレに立ったついでになんとなくカーテン越しを覗くと、もぬけの殻になっていた。いつの間にかお年寄りの患者さんは別の病室に移されていたのだ。看護師さんの会話を聞くとはなしに聞いてみると、どうやら一人部屋に移されたらしい。同部屋の誰もクレームをつけたわけではないのだか、看護師さんの配慮でそのようにしたのだろう。

結局、買ってきてもらった耳栓は1回も使う機会がなかった。しかし「集中·安眠·リラックス」によいという触れ込みなので、別の機会に使おうと思う。

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