« 耳栓·その4 | トップページ | 話の極意 »

思い出したこと

12月8日(日)

たんなる思い出話。

3年ほど前、民放局のテレビ番組の取材を受けた。戦争に関する番組である。

電話をかけてきたディレクターの方がめずらしく誠実そうな方だったのでその取材をお受けすることにした。

「当日はうちのニュース番組のキャスターがお話をうかがう形で撮影します。ただ平日夕方のニュース番組を担当しておりますので、土日にお仕事場に取材にうかがってもよろしいでしょうか」

「わかりました」

平日夕方のニュース番組のキャスター?誰だろう?ひょっとしてあの人か?などと胸踊らせながら当日を迎えると、予想に反して男性アナウンサーだった。

その男性アナウンサーは、シュンとした顔立ちで、身長もスラリと高い。いまどきルッキズムかよ!と叱られるのを覚悟でいえば、「好感度の高そうなイケメンアナウンサー」に見えた。学歴もエリート街道を歩まれてきたらしい。

しかし、そのときの態度を見て僕は少し驚いた。

取材陣と最初に挨拶をして、ディレクターと撮影の打合わせをし始めると、彼はどこかへ行ってしまった。

打合わせに同席しなくていいのかな?と僕は少し心配したが、そういうものなのかなぁとそのときはそう思った。

しかし番組のテーマは「戦争」である。デリケートなテーマを扱うのだから、通常の仕事の中のひとつ、というわけにはいかないのではないかという思いも依然として残り続けた。

結局、彼は撮影をはじめるという時になってようやくあらわれ、ぶっつけ本番で撮影をして、帰っていった。

実際の番組を見ると、さすがディレクターの思いの強さがあらわれている番組に仕上がっているなぁと思った。だからこの番組にお手伝いできたことはとても貴重な体験となった。

ただひとつ心に引っかかったのは、あのアナウンサーの態度である。彼は番組自体に関心がなさそうに僕には見えた。事前に下調べをしたのかどうかもよくわからない。いや、しているのかも知れないが、もしそうだとしたらもう少し関心のある姿勢を見せるはずである。それ以降、僕はそのアナウンサーに対する見方がガラリと変わってしまった。

なぜこんなことを思い出したかというと、今日のニュースをチェックしていたら、そのアナウンサーがレギュラー出演するニュース番組の中で、韓国のユン大統領の戒厳令の一連の動きを報じたあと、「韓国では民主主義が根付いていないのかな」と発言し、「軽率な発言だった」と、ニュース番組とは別にレギュラー出演しているラジオ番組で謝罪した、というニュースを見たからである。僕はそのニュース番組もラジオ番組もリアルタイムではチェックしていなかったが、映像や音声に残っていた。

僕は「出るべくして出た発言だな」と、3年前のことを思い出し感慨深く思った、という、ただそれだけの話である。

|

« 耳栓·その4 | トップページ | 話の極意 »

思い出」カテゴリの記事

コメント

ろうそく集会の映像を見ると、パク・ウネ大統領の弾劾時はスマホライトを振っていたのに、今回はK-POPファンが持つ「応援棒(ペンライト)」を振っているのが特徴的で、アイドルを応援するような若い世代にも民主主義が根付いている表れのように思われます。

普通は応援するアイドルごとに色が決まっているけれど、今回はあらゆるアイドルのファンが応援棒を振っているので、カラフルできれいですね。

20・30代 憤怒をこめた「K-POP」と「応援棒」...「祝祭のような集会」(2024.12.08 放送 MBC「ニュースデスク」)
https://www.youtube.com/watch?v=QKjs-CmI8xg


【2024最新】K-POPアイドルの公式ペンライト一覧 一番かわいいのは?値段や売ってる場所も徹底紹介!
https://koreaddicted.jp/33279

投稿: 🐢🕯 | 2024年12月 8日 (日) 23時00分

[LIVE] ユン・セギョル 即刻退陣 釜山市民大会(2024.12.08 (日))
https://www.youtube.com/live/yB_UVuZ6CHE?si=x1EuZV80s5sR8wAn&t=8775

2:26:21の所から、高校2年生が、BTS(防弾少年団)の応援棒を片手に「歴史の試験はダメだったけど、こうして私は歴史になります」と釜山訛りでスピーチ。最後にTripleSの「ガールズ・ネバー・ダイ」を観衆に歌わせて、「推しのみんな、よく生きられる世界を作ってあげる!」と締めます。

投稿: 🐢🕯 | 2024年12月 9日 (月) 00時04分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 耳栓·その4 | トップページ | 話の極意 »