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僕が寝てる間に

12月4日(水)

朝起きたらこぶぎさんがブログにコメントを書いてくれていた。

「あなたが寝ている間に

大統領が非常戒厳令を宣布し

戒厳軍が国会に侵入し

国会が与野党全一致で非常戒厳反対を決議し

憲法により非常戒厳が無力化し

戒厳軍が原隊に復帰(午前5時現在)

おかげで、わたくしめは寝れなかったんですけど。

耳栓貸してくれないかな、まったく」

最初読んだ時には何のことかサッパリわからない。「大統領」とあるからあの悪名高いアメリカの大統領のことかなと思ったが、ニュースを見て、そうではなく韓国のユン大統領のことだった。

いったいどういうこっちゃ?と思ってニュースを読んだり旧Twitterを見たりしていると、旧Twitterに簡にして要を得たツイートを見つけた。内容はこぶぎさんが書いてくれた通りだった。

「いいですか、落ち着いて聞いてください。あなたが寝ている間に、韓国で夜11時に突然戒厳令が敷かれ、国民は猛反発し議員は軍を押しのけ国会に入場し、深夜1時半に解除案が可決され、午前4時に大統領がこれを受け入れ、午前5時に正式解除されました。そして今日おそらく大統領は弾劾される見通しです」

さらにいろいろなニュースを見ると、こんなことも書いてあった。

「韓国における戒厳令は1979年10月以降45年ぶりのことで、1987年の民主化以降、初の事態だった」(ニューズウィーク日本版)

「韓国で戒厳令が出されるのは、抗議する市民が軍に鎮圧され犠牲になった「光州事件」へとつながった80年以来、44年ぶり。尹政権の支持率はこのところ約20%と低迷。政権の求心力低下が著しい状況下で、権力回復へ形勢逆転を狙った大胆な行動に出たが、失敗に終わった」(時事ドットコム)

なるほど、44年ぶりか。僕はむしろこっちの方に興味がある。

44年前の戒厳令があの光州事件を引き起こしたことを、ユン大統領は知らなかったのだろうか。

アン·ソンギやキム·サンギョンが出演した映画『華麗なる休暇』(邦題『光州5・18』2007年)とか、ソン·ガンホ主演『タクシー運転手 約束は海を越えて』(2017年)とかを見ていなかったのかな?

また、1987年の民主化ということでいうと、韓国の名だたる俳優が出演した『1987 ある闘いの真実』(2017年)が思い出されるが、これも見ていないのか?

韓国の民衆はこうした映画を通じて戒厳令とか政権による弾圧の歴史について大統領よりもはるかによく学んでいた。だから戒厳令などという大統領の「ご乱心」を一夜にして解除できたのではないだろうか。もちろんそれだけではないと思うけれども、民衆の方が歴史から学び、遥かに意識が高かったことは間違いなさそうだ。国民を舐めんなよ!といったところだろうか。それにしてもなぜ大統領がこんな時代錯誤なことをしたのかわからない。

そう考えると、地道にこういう映画を作り続けるって大事だ。しかも一流の俳優たちが躊躇なく出演している。それがまた民衆の心を惹き付ける。

「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」という格言を持ち出すまでもなく。

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