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謎の紳士

鬼瓦殿

こんばんは。コバヤシです。

今日は広島の福山に日帰り出張です。

帰りの新幹線の時間潰しに、久しぶりに思い出した小ネタを書いてみます。

私が千葉に住んでいた頃のことなので、もう20年ほど前でしょうか。

当時、週末は良く御茶ノ水にあるディスクユニオンにCDを物色に行っていたのですが、確か夏の夕方だったのではないかと思うのですが、欲しかったCDを手に入れ、千葉の家に帰ろうと駅前の丸善の辺りを歩いていた時に、突然、目眩がして立っていられないぐらいよろけてしまいました。でも、途中で揺れているのは自分では無く地上の方だと気づきました。震度5強の揺れだったのではないかと記憶しています。

揺れがおさまり御茶ノ水駅の改札前まで行くと、電車は止まっていて復旧の目処が立っていないというアナウンスが聞こえ、駅前は凄い人です。

私は暫くどうしたものかと考えていたら、そう言えば神保町に、昔、会社の同期とよく行っていたベルギービールのバーがあるではないかと思い出し、電車が動くまでの2、3時間、その店で時間を潰すことにしました。

神保町まで坂を下って、その店に着くと、先客が1人います。

店員に、昔良くこの店に来ていたなどと話しながら、ビールを飲んでいると、暫くして先客でいた身なりの良い紳士が私に話しかけて来ました。

紳士は、映画好きとのことで、神保町にちょくちょく来ては昔発売されていたVHSの映画のビデオを集めているとのこと。私にもその日の戦利品を見せてくれたのですが、なにせ私は映画には全く興味が無かった為、スミマセンなどと話していたのだと思います。

すると、その紳士は話題を変え、突然、「宇崎竜童さんの奥さんの阿木燿子さんはご存知ですか?」と私に尋ねます。私が「え〜、お名前ぐらいは。」と答えると、「阿木燿子さんは、本当に美しい方です。私はお二人のことを昔から知っているのですが、今でもお綺麗ですが、若い頃の阿木さんは本当に美しかったんです。旦那になった宇崎さんは、それはもう阿木さんにぞっこんだったみたいです。」と語り、続けて「でも残念なことに、お二人は今、別居しているんですよ。」などと、聞いてもいないのに説明してくれます。

その後、また突然「和田誠さん、あの人はダメです。」と語りだします。「和田さん、最近、あまり表舞台に出て来なくなくなったでしょう。あの人、若い女性スタッフと浮気しているんですよ。そういう人はダメです。」と、そんな業界の裏話を見ず知らずの私なんかにしてもいいの?と私は戸惑うばかり。「和田さんも昔から知っているだけに残念でたまりません。」と紳士は続けます。

そうこうするうちに夜になり、電車も動き出したのではないかと、私は店を出ることにしました。

あの紳士は一体何者だったのだろうか?今でもたまに思い出すことが有ります。しかも、何故あんな話を私にしたのか。

でも、今になって思うと、紳士はしがらみのある身近な人達には話せなかったのではないか。

逆に、何の縁もゆかりもない私だったからこそ、紳士は自分の残念な思いを話すことが出来たのではないだろうか。

今は何となく、そう思ったりします。

それにしても、あの紳士は何者だったのだろうか?

それでは、また!

これからどんどん暑くなるので、くれぐれもご自愛ください。

〔付記〕

今回いただいたメールは、着眼点とか、何気ないやりとりとか、なんとなく不肖僕が書く文章に近づいていると思う。

むかしコバヤシから、お前の書くブログの文章は、オチがあるんだかないんだかわからない、と言われたことがあって、たしかにそうだ、と我ながら思ったことがある。いまでもオチがあるんだかないんだかわからない文章を書き続けている。

そういう意味でいうと、この「謎の紳士」も結局何者かがわからずに文章を終えている。これは僕がよくやる手口だ。

僕のブログの文体に合わせてくれたのか?それとも長年読んでいると、似てくるものなのか?

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