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ふらりと訪ねる

いま、卒業生のI君の投稿が連載中だが、同期の卒業生のSさんからメールをいただいたので、本人の許可を得て、抜粋し、固有名詞を特定しないなどの改変を加えて、紹介する。

「鬼瓦先生

I君より、同窓会の報告が届いているかと思いますが、当日先生からメッセージをいただけてとても嬉しかったです!

それもあり、久しぶりに先生のブログにおじゃまさせていただいたところ、入院されていると知りました。

ご連絡するのも億劫に感じさせてしまうかしらとメールを控えていようかと思っていたのですが、I君めちゃくちゃ原稿送ってんな!?(笑)となったので私もメールをお送りしようと思った次第です。

2年前かな?先生に職場にいらしていただいた際には、短い時間でしたが色々とお話ができてとても嬉しかったです。

あの頃、ちょっと行き詰っていまして、仕事を続けるかどうか……というメンタルでいましたので、先生とお話して、色々と初心に戻れた部分がありました。

今は別の職場に異動となりましたが、元気に楽しく仕事をしております。

それから、いつか先生を講師としてお呼びできるような企画を立てる!というのを野望に仕事をしていますので、先生の体調が落ち着いてこられた暁には、ぜひともご講演をしていただきたいなあと思っております!

そのためにも私ももっと色々なことを勉強してより良い企画を考えていかなければ!!

あれこれ企画を平行して考えなければいけない時なんかは、先生が卒論を書く時に「文章に行き詰まったらその間に参考文献とかの整理をして事務的なことをやると良いよ」と言っていたのを思い出して、一度企画を寝かせて他のことをしてから練り直しをしたりしています。

私がメールを送りたい!と思っただけですので、お返事はお気になさらないでくださいね。

かわりに、先生のブログの更新を楽しみにしております!

またそのうち近況などメールさせてください!」

僕は、卒業生の職場や勤務地などにふらりと訪ねたりするのが好きだった。もっとも、わざわざ会いに行くというわけではなく、その地で仕事があったついでの時に限られる。もちろん空振りの時もある。

たいていの卒業生は驚く。そりゃそうだ。だってふらりと訪ねるんだもん。

Sさんの場合は、受付で呼び出してもらうという、いわば予告なしに訪ねたので、さぞびっくりしたことだろう。

訪ねたはいいが、あらかじめ話す内容を決めるわけではなく、たんに話を聞くだけである。別に何らかのアドバイスをするわけでもない。

話してもらっているうちに、結局は自分自身が答えを見つけるのである。

各世代の卒業生がそういう人ばかりだったので、僕自身は本当に楽だった。

ただ、

「文章に行き詰まったらその間に参考文献とかの整理をして事務的なことをやると良いよ」

というアドバイスをしたことは明確に覚えている。何気なく言った言葉だが、いまも覚えていてくれているのは嬉しい。

だから、ちょっとした言葉であっても、それを発することは責任重大なのだ。文章もまた、同じである。

メールに書かれていることが本当に実現するかはわからないが、いまの僕には病気を早く回復させるためのモチベーションを上げる役割をはたしている。

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