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高校時代の恩師との対話・その2

高校時代の恩師との対話

9月28日(日)

着信履歴をみたら、高校時代の恩師から電話があった。

病室では電話ができない。リハビリが終わった後、電話のできるスペースで電話をかけ直した。

「その後どうですか。ちょっと気になってね」

恩師は、僕が「究極のミニコミ誌」の最新号に自分の病気遍歴を600字程度で明け透けに告白したのを読んで、近況について気になっていたらしい。

「実はあのあと……」

かくかくしかじかと、いまの状況をお伝えすると、恩師はひどく驚いた様子だった。

それは当然である。あの文章を書いたあと、僕の病気遍歴は「もうひと転がり」したからである。

恩師は言葉のない様子で、「人生、何があるかわからないね。そんなに病気が続くことになるとは…」

いやいや恩師、あなたの人生もたいがいですよ。僕はあなたの連載を読んでこれまでの恩師の病気遍歴に驚いていたんですから。いまはその文章に励まされてなんとか明るく生きているんです。

…と、喉元まで出かかったが、その言葉をグッとこらえた。

恩師は死んだ父と生年が同じである。若い頃、あれだけいろいろな病気を抱えていたにもかかわらず、電話の声と言葉は高校時代の恩師と変わらなかった。

「こんど、時間があったらお見舞いに行きます」

これは恐縮である。高校を卒業してから40年も経つ教え子のことを、いまだに心配してくれている。

「何もできないのが申し訳ない…」

と恩師は最後におっしゃっていたが、そんなことはないですよ。クドいようですが、僕はあなたの文章に励まされたんです、とはついに言えなかった。

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