ILL COMMUNICATION·再び
ダースレイダーさんのYouTubeチャンネルで、「ILL COMMUNICATION」と題して、歌手の和田彩花さんと対談していた。
2時間にわたる対談だったが、もうね、これほど僕の気持ちをスッキリさせてくれて、代弁してくれた対談はない!というほど、最初から最後まで頷きっぱなしだった。
対談相手が和田彩花さんというのも、これは僕のために用意してくれた対談か?と自惚れてしまうくらい最高の座組だった。
和田彩花さんとは、2020年のコロナ禍の時に、一度だけ一緒に仕事をしたことがある。職場のイベントの「関連イベント」の時だった。
僕は武田砂鉄さんのラジオ番組で和田彩花さんがゲストとして対談していたのを聴いて、初めてその存在を知り、聡明な人だなと、ファンになった。
その後、めぐりめぐって職場のイベントに関連したイベントでご一緒したのである。そのときも、和田彩花さんのコメントが素晴らしく、やはりイメージ通りの人だなと感激した。今回のダースレイダーさんとの対談でもその聡明さは変わらなかった。
ではなぜ「ILL COMMUNICATION」に登場したのだろう。
全然知らなかったのだが、朝日新聞によれば、和田彩花さんは8年ほど前のアイドル時代から鬱病を患っていたとのこと。アイドルという仕事柄、それを公表することを躊躇っていた。最近になってようやく公表できるように、自分の気持ちも整理できたということなのだろう。
病気を公表すること、あるいはどの程度まで公表したらよいかは悩ましい。
これに対してダースレイダーさんは早くから自分の病気を公表してきた。それは、「病気は治すというよりも共に歩むものである」という境地に達したからである。
今回の対談ではそのことがさらに明確に語られていた。以下、その言葉の一部を拾っていくと、
「『もとに戻る』とか『回復した』とか『早く帰ってきてね』という言われ方をしてたんだけど、それには違和感があって、『病気になった後の自分』にしかなれないんじゃないのかなと思うようになった。回復したとかもとに戻るとかいう考え方は、病気が悪いものだという発想にもとづくものではないか」
「病気を告白できないというのは自分が悪い状態なんだということを言えなくなっているこの国の社会的状況に原因がある。
自分にとって病気は日常で、そこに何の後ろめたさを感じる必要はない。背か高いとか低いとかのような、個人の特徴に過ぎない。
本当の自分なんて存在しない。元気な自分が本当の自分?そんなことはない。『病気の自分』も自分なのだ」
「病気に対する社会の嫌悪感がコロナ禍を通して可視化された。誰にでも罹りうる病気なのに」
「病気のことを発信しなければならない。それが発信できる病人の役目だ」
「健常者は、病人というカテゴリーでその人を判断しがちである。しかし病人としてではなく、個人として尊重すべきである」
と、思いつくままに言葉を拾ってみたが、いまの僕にとってはそのすべてが腑に落ちることばかりである。
僕も病院に入院することを「地元に帰る」と言いたいくらい、この8年ほどさまざまな病院のお世話になってきた。今まで避けてきたが、それを発信することも、僕に与えられた役割かもしれない。
「ゆく河の水は絶えずして、しかももとの水にあらず」(鴨長明『方丈記』)の如く、人生も流れていき、元の人生に戻ることはできない。
| 固定リンク
「心と体」カテゴリの記事
- 自立への道(2025.11.14)
- スポンジ(2025.11.13)
- イキる老人(2025.11.07)
- 記憶のリセット(2025.11.05)
- 俺は何と闘っているのか?(2025.11.02)


コメント