女性週刊誌
「駆け出しの入院患者」である僕は毎食、病室から食堂に強制的に連れて行かれるのだが、食事の時間より30分くらい前に連れてこられ、そこにスタンバイさせられることが多い。うっかり丸腰で行ってしまうと食事の時間まで時間を潰すのに苦労する。
最近になってようやく「スマホと本」を小さな手提げかばんに入れて持っていく知恵をつけたが、最初は備えつけの新聞や雑誌を読んでいた。しかしすでにほかの人の手に渡っていることがあり、なかなか読みたい新聞や雑誌にありつけることは少ない。それでなくても雑誌の種類は限られているのである。
それでも「活字中毒」であり「情報スケベ」である僕は、とりあえず何でもいいから雑誌を手に取る。手にした雑誌は女性週刊誌だった。
久しぶりに読む女性週刊誌、といってもこれまで熟読したことはない。
芸能ゴシップと皇室ネタで埋め尽くされているのは、たぶんむかしと変わっていないのだろう。ひとつひとつの芸能ゴシップは、見開き2ページで簡潔に完結している。
「水谷豊、鬼父宣言!」
という見出しが気になったので読んでみると、俳優の水谷豊さんを父、伊藤蘭さんを母に持つ俳優の趣里さんがミュージシャンと妊娠婚したらしい。その相手がまあチャラ男のようで、数々の女性と浮き名を流していた。当然両親は二人の結婚に難色を示していたようなのだが、生まれてくる子どもには罪はないので最終的には同意した。父の水谷豊さんは、「たとえ相手に浮気されても助けない!」という宣言をしたというのである。なるほどそれで「鬼父宣言」か…。
女性週刊誌といえば「馬鹿っ母」である。そのことについては前に書いた。
http://yossy-m.cocolog-nifty.com/blog/2013/05/post-38c0.html
「鬼父」は、「馬鹿っ母」を引き継いでいる表現として、女性週刊誌の伝統を守り続けていた。
ほかには、歌手·長渕剛の不倫に関する記事や歌舞伎役者の松本白鴎の記事もあった。いずれの記事も、ショックだったのは内容もさることながら、志穂美悦子と松本白鴎の現在の写真である。長渕剛の妻·志穂美悦子は若い頃の面影がなく、松本白鴎は歩くのもままならず車椅子生活を続けながら、現役の役者を続けている。年を取ると誰でもそうなることとは言え、若い頃を知っている身としては、深く考え込んでしまう。やがてその矛先は自分に向かう。いまの俺も同じように、まわりからはそう見えているのではないか、と。
結局安心して読めたのは、武田砂鉄さんが連載している「テレビ磁石」だけだった。
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