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病院食の憂鬱

9月29日(月)

転院してから、朝、昼、晩の食事は毎食おにぎりである。

転院する前の病院でも毎食おにぎりだったので、ずーっとおにぎりである。

右手が不自由なので左手でつかんで食べられるものということで、おにぎりということになった。

しかしさすがに飽きてきた。いまはもう右手で箸を使えるようになってきているのである。

カレーライスが出たときも、他の人は白米にカレーの汁をかけて食べていたが、僕だけおにぎりだった。

ちょっと腹が立ったのでおにぎりをカレーの汁にぶち込み、おにぎりをぐちゃぐちゃにして食べてやった。少しでもカレーライスに近づけるためである。

ところが、今日の昼食から事態が動いた。

本来は週に3日、朝食にはパンが出ていたのだが、そのときも僕はおにぎりである。

それを、みんなと同じようにパン食に切り替えようと上が決定した。

ついては、パンを飲み込めるかどうかの検査をした上で正式に決定するとのことだった。

どういうこっちゃ???いちいち飲み込みの検査をするのか??俺は毎朝7錠の錠剤を一気に飲み干している人間だぞ!

しかしよく考えればお年寄りの中にはパンを喉に詰まらせる人もいるだろうから、念のため検査が必要なんだろう。そのことは理解するが、しかし杓子定規な話である。

さて、昼食が運ばれてきた。またおにぎりじゃん!!と思って、ほかの小皿の蓋を開けてみたら、バターロールが1個入っていた。

「いまからこのバターロールを飲み込んでいただきます」

ジャムも何もつけずに、無味のバターロールを飲み込んだ。

するとスタッフはおもむろに聴診器みたいなものをとりだし、僕の喉にあてがった。飲み込む音を聞いているらしい。

「はい、合格です」

あたりまえだよ!

ついでに僕は恐る恐る尋ねた。

「あのう、さすがに毎食おにぎりというのが飽きたので、白米に変えていただくことは可能ですか?」

「わかりました。では夕食からそうしましょう」

そこは検査しないのかよ!箸で食べられるかどうかとかさー。

あとは麺類がクリアできればふつうの病院食にありつける。そのことをいつ言い出したらよいか、タイミングを計りかねている。話のわかるスタッフに聞かないと失敗する可能性があるからである。

「もうこの病院に慣れましたか?」といろいろなスタッフに聞かれるが、僕が口ごもるのは、こういうことの多さによる。

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