仕事の極意
10月11日(土)
今日の午後は、年に1度の全館停電の日。正確には、午後1時~3時半までの2時間半なのだが、電気を使うすべての機能が停止する。電灯はもちろん、空調もエレベーターもトイレも給茶機も使えない。しかしそれでもリハビリだけは予定通り実施する。
リハビリに使う廊下はかなり暗かった。あたりまえだ、電気がついていないのだから。
そのため、廊下の辻々に、ランタンみたいな明かりを持った看護師さんが座っていた。考えてみれば、看護師さんの使う電子カルテみたいなものも停電のために使えないのである。つまり停電の間は仕事にならないわけで、それでランタンを持つ係をしているのかと気がついた。
停電というのは、どことなくテンションが上がるのだろうか。ランタンを持つ看護師さんはどこか嬉しそうである。
その灯りに助けられながら、僕は杖をついて廊下を歩く。もちろん横には、理学療法士さんがついてくれている。
「焦らないで。でも(歩みを)遅くしないようにしてください」
というアドバイスを横で言ってくれたのだが、その言葉である映画のセリフを思い出した。
「『宇宙戦艦ヤマト』って、知ってますか?」
「え、…ああ、パチンコ台のことですね」
ショック!若い理学療法士さんには、『宇宙戦艦ヤマト』がアニメ映画だということを知らなかったのだ!(もちろん、最初は30分番組のテレビシリーズから始まったのだが、ここではその話は措いといて)
「いえ、むかし、そういうアニメ映画があったんですよ」
「そうなんですか?パチンコでしか知りませんでした」
「で、その中に有名なセリフがあるんです」
「どんなセリフです?」
「『慌てず急いで正確に』というセリフです」
「『慌てず急いで正確に』…。なるほど、いまのリハビリの心構えにもピッタリの言葉ですね」
理学療法士さんはひとまず納得してくれたが、このセリフ、『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』を観た人なら誰でも覚えている名台詞だよね!というか国民全員が当然知っている名台詞だと思ったのだが。空間騎兵隊隊長の斎藤始が真田技師長に向かって言うセリフですよ!読者(ダマラー)のみなさんはよくご存じでしょう?
もう一つ、『宇宙戦艦ヤマト』の名台詞と言えば、第1作の劇場版『宇宙戦艦ヤマト』での沖田艦長のセリフ、
「地球か…何もかもみな懐かしい」
だよね。小学生の時にこの場面を観て、滂沱の涙を流した。いまも書いていてウルッときたもん。
そんなことはともかく。
これこそがリハビリの極意ではないかと悟ったのだった。いや、リハビリに限らず、すべての仕事において、この言葉は有用なのではないかと今更ながら思ったのだが、気がつくのが遅かったか。
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