トイレ盗り物語
いまうちの階の病棟は壊滅状態である。
次々と高熱を出す患者が増えている。病棟の1/3はそうした患者である。
何らかの感染症なのかは、はっきりしない。しかしどう考えても、いま流行しているインフルエンザの可能性が高い。医療機関ではなく、リハビリ専門の病院なので検査の結果がわかるまでには時間がかかる。まったく融通のきかない病院だ。
病室に患者が出ると、その病室のドアが完全に閉められる。感染を防ぐための措置である。
それで困るのは、トイレの問題である。どの病室にも、その病室に隣接したトイレがある。当然、僕の病室にも、隣接したトイレがある。
通常は、その病室に隣接するトイレを使用するのだが、万が一、隣接するトイレが「使用中」なら、他の病室に隣接するトイレを使わせてもらうことができる。
ここまではわかるかな?
ところが、その病室に高熱の患者が出てしまうと、その病室に隣接したトイレは閉鎖される。基本的にその病室の患者しか使えなくなるのである。
そうなると、「トイレ難民」が生まれる。うちの病室は高熱の患者が出ていないので、隣接するトイレは誰でも自由に使えるトイレとして、いろいろな人に使われるようになった。おかげで「使用中」の場合が増えたのである。これはわが病室のトイレを脅かす「存立危機事態」である!
「トイレ難民の流入反対!トイレ難民を排斥せよ!」「うちの病室の患者ファースト!」
と思わずシュプレヒコールをあげたくなった。
しかしそんなことを言ったら患者どうしの関係が悪くなる。
昨日の夜中の2時頃、尿意をもよおしたのでトイレに行こうとした。当然、あたりは真っ暗である。
トイレの前まで行くと、人影を感じた。人影の方を向くと、一人のおじいさんが立っていた。
隣室の「頻尿おじいさん」だ!
またタイミングが合っちゃったよ!
僕が「お先にどうぞ」と言ったら、
「そうですか、ではお先に失礼します」
と、悪びれる様子もなく、トイレに入っていった。
こっちに譲る気はないのかよ!と思いつつ、まあ年上のおじいさんなので仕方がないか、とあきらめた。
ここて学んだことは、
「トイレ難民を排除してはいけない」
ということと、
「隣人にはその人の顔を立てつつ親切にする」
ということである。わっかるかな?わっかんねえだろうな~。
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