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ある時期から漫画をまったく読まなくなったが、ここ最近で、唯一全巻を通して読んだのは、武田一義さんの『ペリリュー 楽園のゲルニカ』(全11巻+外伝4巻)である。あ、吉永ふみさんの『大奥』も、全巻かは忘れてしまったが、少なくとも大部分は読んだ。
武田一義さんの『ペリリュー』をなぜ読むようになったのかというと、ある本に紹介されていたのを見て、面白そうだなと思って読み始めたのがきっかけだったと思う。
もうひとつの理由は、今から4年ほど前の2021年、ある小説に関するオンライン読書会になぜか僕が招待されて、その読書会のメンバーの一人に武田一義さんがいたのである。
他のメンバーは、その小説を書いた作家本人やその編集者も含めて、すでにお互いを知っている関係だったが、僕だけが「おたくさん、誰です?」という感じの完全アウェイの読書会だった。しかしまあせっかく呼ばれたので、その小説を必死に読み込み、僕なりの感想を述べることで責めを塞いだ。
3時間以上にわたる読書会は思いのほか盛り上がった。メンバーたちはそれでも飽き足らず、一斉メールのような形で、それぞれ読書会自体の感想を書き合って盛り上がった。いわば二次会のようなものである。
僕も調子に乗ってその二次会に加わり、こんなことを書いてしまった。
「…小説の読後感として、読書会の中では構成や技法という点から福永武彦の『忘却の河』をあげましたが、読み終わった時の衝撃という点では、韓国映画の『オールド・ボーイ』(パク・チャヌク監督、2003年)を観終わった時の衝撃に近いものを感じました。ただなぜそう感じたのか、自分の中でそれをうまく言語化できていなかったので、会の中では申し上げませんでしたが」
そしたらあーた、武田一義さんから僕宛てに、こんな返信をいただいたのである。
「読後感について『オールドボーイ』というのは僕も「なんとなく分かる!」という思いです。
僕はこの小説を読み終えた直後、傑作に出会った興奮状態の中で「似てるってことではないけど芥川龍之介の『藪の中』とかタランティーノ映画を初めて見たときみたいな衝撃」と妻に伝えました。
鬼瓦さんの挙げた2作品とは、なんとなく共通点があるように思えます。
語るとキリがなさそうなので、僕もこれくらいにしておきます。
ではまた、ご縁がありましたら」
韓国映画の『オールドボーイ』はタランティーノが評価してやまなかった作品である。そのことを知っていた上で、「なんとなく分かる!」という共感のコメントをいただいたのである。僕はこの言葉にすっかり感激してしまった。この感性の共鳴は、読書会のほかのメンバーには理解できなかっただろう。
僕がすっかり武田一義さんのファンになったのも無理はない。
さて、肝心の『ペリリュー』の内容は、アジア·大平洋戦争末期、南方のペリリュー島での日本軍兵士たちの戦いを、実際の取材を通して、虚構を交えながら描いた傑作である。大岡昇平の小説『野火』にもインスパイアされていると本人は述べている。
「戦争漫画は苦手だ」という人には無理には奨めない。しかし、この漫画に登場する人物たちはいずれも三頭身で、かわいらしく愛すべきキャラクターである。その点では、もちろん悲惨な戦場を描いてはいるのだが、リアルに描いているわけではない。
残念ながら、入院中の身ではいま公開中の映画『ペリリュー 楽園のゲルニカ』を観に行くことができない。もしだまらーのみなさんの中で観に行く方がいれば、感想をお寄せくださいますと幸いです。厚かましいお願いですがよろしくお願いいたします。
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