絶対に座ってはいけない公共交通機関訓練
12月1日(月)
今日ほど疲れた日はない。今日が最大の山場である。
病院の外を出て、バスや電車の乗降の訓練をする日である。
健常者にとっては何でもないことかも知れないが、私にとっては大冒険であり、大試練である。
病院の最寄りのバス停からバスに乗り、最寄りの駅に向かう。次に駅から電車に乗り、1駅で降りて改札を出て、再び改札に入り、もとの駅まで1駅戻る。そこからまたバスに乗り、病院まで戻る、というルートある。リハビリスタッフと妻がついてきてくれた。
ここまではわかるかな?
「2時間とってありますので余裕で行けると思います」
とリハビリスタッフさんが言ったが、とてもそんなことはなかった。
なぜなら一つの禁止事項が定められていたからである。
それは、「バスや電車に乗ったら、どんなに空いていても、絶対に座席に座ってはいけない」というルールである。
これがかなりツラい。目の前に空いている優先席があるのにこちらは立ちっぱなしなのだ。
バスの運転手さんは不審がって、
「お客さん、座らなくてもいいんですか?」
と聞いてきたが、リハビリスタッフさんは
「大丈夫です!」
と大声で返事をした。こっちは杖を持ってやっとこさバスに乗ってきたというのに、座席に座らないなんてどうかしているどうかしていると思ったことだろう。
バスの乗降時もまた大変だ。乗るときは左足から乗って、降りるときは不自由な右足から降りる。これすらもかなりの冒険なのである。
もう一つルールがあった。高架の駅から電車に乗るときには、駅のホームまではエスカレーターを使うこと。絶対にエレベーターを使ってはならない、という規則である。
駅のエスカレーター、というのがこれまた難しい。
駅のエスカレーターというのは、流れるスピードが思いのほか早い。健常者にとってはさほど感じないのだろうが、エスカレーターの流れにうまく乗って両足を乗せるという動作は、決死の覚悟といっても過言ではない。結局昇り降りの訓練を2往復した。
帰りのバスももちろん立ちっぱなし。病院前のバス停で降りた私は、ほんの短い距離を、まるで敗残兵のようなゆっくりとした足どりで病院の建物へと入っていった。
あとで聞くと、同行したリハビリスタッフさんと妻も立ちっぱなしだったので、腰や膝が痛いと言っていた。私が動けなくなるのも宜なるかな、である。
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