9月23日(水)
何といっても、今はラグビーのワールドカップですね。
…といっても、私はラグビーに関して、何一つ知識がない。
子どもの頃、ドラマ「スクールウォーズ」をぼんやりと見ていた程度である。
ラグビーの試合を、まったく見たことがないのである。
今日たまたまテレビをつけると、日本とスコットランドの試合がテレビでやっていたので、途中からだったが見てみることにした。
ルールがまったくわからないので、試合をどのように見ていいのかも、よくわからない。
たぶんそういう人が多いのだろう。何かの反則で試合が中断した時など、関連するラグビーのルールについての簡単な説明がときおり画面の横にあらわれる。
しかしそれを読んでもわからない。
「スクラムで試合再開する」
と説明されても、こちとら「スクラム」の意味すらわからないのである。
しかし、見ている分には面白い。見ているだけでも、なんとなくルールがわかってくる。
まことに不謹慎かも知れないが、「飢饉の村どうしが、1つの食糧を奪い合っている」というつもりで試合を見れば、試合の展開が俄然面白くなる。
ところで、私のようなラグビーの試合を初めて見る人間ですら、
(どう考えても、スコットランドが優勢だよな)
と、見ていて思う。
日本はディフェンスは甘いし、突破力もないし、パスもつながらない。
それに対して、スコットランドの選手たちは、スタミナもあるし、とにかく運動能力が全然違う。
実際、スコットランドは次々とトライを決めているのである。点差がどんどん大きくなっていく。
ところが、である。
解説をしていた、おそらく元ラグビー選手とおぼしき人は、
「まだ大丈夫です」
と、何度も繰り返す。
(大丈夫だと思う根拠は何だよ!)
と、テレビに向かってつい言いたくなる。果ては、
「大切なのは、自分を信頼することです」
という始末。
さらに、終了20分前くらいになると、
「スコットランド勢は、後半かなり疲れていますからねえ。それに対して日本勢は、スタミナには自信がありますから、これから巻き返せます」
などという。
だが私には、どう見てもスコットランド側よりも日本側のほうがスタミナ切れのように見えるのだ。
その解説者は終始、精神論や楽観論に徹していた。ラグビーは、運動能力や技術ではなく、精神論や楽観論で勝てるのか?
その直前まで、映画「人間の條件」第5部をDVDで見ていた私には、その解説者の語る精神論や楽観論が、太平洋戦争末期の軍部の精神論や楽観論と、似ているように思えてならなかったのである。
もちろん、思い過ごしかも知れない。
ただ、日本チームのある選手が、試合の途中で負傷し、担架で運ばれた時に、
「1つのトライを決めるために、多くの犠牲がはらわれている」
みたいな、名誉の負傷を称えるような解説もあって、ちょっと違和感を覚えたのだ。
私はここで気づく。なぜ私が、スポーツ観戦が苦手なのかを。
やる側も見る側も、純粋にスポーツを楽しめばいいのに、どうもそれを許してくれない雰囲気が、スポーツにはあるのだ。
解説をするんだったら、精神論ではなく、そのプレーのすごさとか、失敗した理由とか、ルールや技術について、もっと理論的に聞きたいのに。だって、一流のアスリートたちがやっている試合なんでしょう?
私みたいな、「飢饉の村どうしの食糧争奪戦」という間違った試合の見方をしている人間に対して、蒙を啓いてくれるような解説を、である。
そうすれば、もっとラグビーがメジャーなスポーツとして受け入れられるのではないだろうか?
あと、スコットランド側に立った解説も、副音声で聞いてみたかった。
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