イノダコーヒ三条店
私はべつにコーヒーに詳しいわけでもこだわりがあるわけでもないのだが、喫茶店に行くのは好きである。過去にブログで書いた記事を引用する。(2010年11月6日条)
「京都に行くと、必ず立ち寄る喫茶店がある。
三条通にある有名な喫茶店。
店の中に入ると、奥に円形の大きなカウンターがある。
そのカウンターの中で、2,3名の店員がひたすらコーヒーを入れている。
言ってみれば、厨房の周りに、客が座るカウンターが取り囲んでいるのである。360度を取り囲む客に見られながら、店員たちは黙々とコーヒーを入れている。
コーヒーを入れる店員は、いずれもおじさんだが、そのおじさんはみな、黒い蝶ネクタイに白衣のようなジャケット、といういでたちで、それがなかなかに格好良い。
円形のカウンターに座る客たちは、ひとくせもふたくせもあるようなおじさんたち。黙って新聞を読んだり、もの思いにふけったりしている。常連の客も多いようで、店員は、コーヒーといっしょに、その客の愛読する新聞をサッと差し出したりしている。
私はこの雰囲気が好きで、京都に来ると立ち寄るようになった。抵抗なく入れるようになったのは、私がおじさんになった証拠か。(中略)
平日の昼間にもかかわらず、円形のカウンターはほぼいっぱいである。平日の日中から500円のコーヒーを飲みにくるこの人たちは、いったいどういう人たちなんだろう、と想像をめぐらせるのも、また楽しい。(後略)」
過去にそう書いた喫茶店の名は、「イノダコーヒ三条店」である。京都に訪れるたびに、時間があるとその喫茶店に立ち寄っていた。何をするかというと、ただボーッとしているだけである。あと、持ってきたり買ってきたりした本をたまに読んだりする。つまり僕にとっては「ラーハな時間」を過ごす場所なのだ。
ところが2022年4月に行くと喫茶店の跡地が更地になっていた。閉店したのかと思いきや、2023年春を目処にリニューアルすると書いてあった。
それ以降、京都に行く機会が減り、その度にイノダコーヒ三条店のある場所を訪れたが、更地のままだったと記憶する。その後長期の病気療養に入ってしまったため、京都出張をしなくなってしまった。
どうしてこの喫茶店のことを今頃になって思い出したかというと、友人からのメールに、イノダコーヒはKEY COFFEEの子会社になったという情報が書いてあったからである。
気になって検索してみると、イノダコーヒ三条店は2024年10月にリニューアルオープンしたようで、オシャレな外観になったが、かつての円形のカウンターは残っているようだった。ますます人気店になったようで、もう気軽な気持ちで入られないかもしれない。ましてやオーバーツーリズムなこのご時世では、客層もずいぶん変わっているかも知れない。
友人のメールには、「いずれ偵察に行ったら報告します」あった。それを期待する。
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