新人介護士
今年に入ったから18歳の若い介護士が入ってきた。先輩の病棟スタッフにいろいろ教わりながらこれから経験を積んでいこうとする素直な青年である。
最初はおもに入浴係をやらされているようだ。週2回、患者がシャワーやお風呂に入るとき、着替えの手伝いなどをするのである。車椅子の患者は人の手を借りないと着替えができない。杖をついて歩いてくる僕は、基本的には放置プレーである。自分で着替えできるだろう、てなもんや。
しかし実際には着替えのための椅子は固いし低いしとやらで、実際にはかなり難儀する。もちろん、車椅子の患者を優先的に介助することは当然なのだけれど、なにも3人がかりで介助することもないだろう。
車椅子の患者が早々と着替え終わってもなお、僕は靴下を履くのに難儀している。
すると18歳の新人介護士がこんなふうに聞いてきた。
「何かお手伝いすることありますか?」
「お手伝いすることがあったら言ってください」
そういいながら、その新人介護士はボーッと突っ立っている。僕はカチンと来て、
「いいです。自分で着替えます。その代わり、あと15分ほどかかりますけどね!」
と言って15分かけて着替えが終わった。
これが熟練の病棟スタッフだったら、何も言わずに率先して靴下を履かせてくれただろう。
「何かお手伝いすることありますか?」「お手伝いすることがあったら言ってください」は、僕自身もうっかり使ってしまっている言葉かも知れないが、相手から「大丈夫です」というリアクションを引き出すための魔法の言葉である。
例えば電車の優先席に座っているあなたの前に、立っているのがいかにもしんどそうな高齢者が現れたとしよう。当然、何も言わずに席を譲るのが常識である。
「しんどかったらおっしゃってください。席をお譲りしますから」
とは言わないだろう?そういうことなんですよ。


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