趣味

だんみっつぁん

1月13日(水)

緊急事態宣言に対して、職場としてどう対応したらいいのか?コロナ禍にさなかにあって、仕事をどのようにまわしていったらいいのか?

そんなことばかり考えさせられて、結局何もいい知恵が出ず、自分のふがいなさに落ち込むばかりである。これでは後手後手の対策しかしていない政府を批判できないではないか…。

憂鬱な日々なのだが、唯一癒やされるのは、往復5時間の車通勤でのラジオである。文化放送「大竹まこと ゴールデンラジオ」をラジオクラウドで聴くのが楽しみである。

なかでも楽しみなのは、水曜日のオープニングでの、いとうあさこのトークである。最近は、月曜日の阿佐ヶ谷姉妹のトークが猛追している。

今週月曜日のオープニングで、阿佐ヶ谷姉妹が本番前にトイレに入り、二人同時に隣どうしの個室で用を足している最中に、妹のミホさんが、

「成人式は今はリモートでぇ‥」

と姉のエリコさんに語りかけるのだが、エリコさんは流水音を設定しているため、隣の個室で用を足しているミホさんの声が聞き取れず、

「え?え?え?」

と何度も聞き返すのだが、ミホさんはそれでもなお、

「だから成人式はリモートでぇ‥」

と語りかけ、そのたびにエリコさんが何度も、

「え?え?え?」

と聞き返していたのを、たまたまさらにその隣の個室で用を足していたガンバレルーヤのよしこさんが一部始終を聴いていて、それを面白おかしく再現していたのには、腹を抱えて笑った。

「全然聞こえなかったのよ。なんでこのタイミングで話しかけてくるのかしら?こっちは聞こえないために音を流しているわけでしょう?それなのにあえてそういうときにしゃべってきてねぇ」

「隣だから聞こえるだろうと思ってついつい話しかけちゃったのよ」

という、阿佐ヶ谷姉妹のやりとりも、たまらなく可笑しい。

…ま、わかる人だけにわかればよろしい。

だがそれよりも、いとうあさこなのである。いとうあさこが友だちなら、どーでもいい話をずっとしていられるような気がする。

水曜パートナーの壇蜜のことを「だんみっつぁん」と呼んでいるのも、「銭形のとっつぁん」みたいでそこはかとなく可笑しい。

ときおり壇蜜が、変なことを言ったときのいとうあさこのリアクションが、これまたそこはかとなく可笑しい。

今日のオープニングでは、壇蜜が「堅焼き」という、めちゃめちゃ堅いお菓子みたいな物を持ってきて、みんなに食べさせて面白がっていたのだが(ま、それじたいが僕には理解しがたい感覚なのだが)、その中に、白い粉をまぶしたお菓子があったらしく、

「あ~!怪しい白い粉がついてますよ。怪しい白い粉!」

と、これまたいつもの壇蜜らしく、物議を醸しそうな言い方を嬉しそうにしたわけだ。するといとうあさこは即座に、

「言い方なのよ、すべては」

と、たしなめるでもなく、ボソッと冷静にツッコミを入れた、そのやりとりが、無性に可笑しかったのである。というか、「言い方なのよ、すべては」とは、壇蜜の本質を見事に言い当てた言葉ではないだろうか。

僕の文章表現の拙さもあり、面白さが全然伝わってないと思うのだが、疲れているので、これ以上のことは書けない。というか、面白いと思っているのは俺だけか?

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生きていれば、きっとこんなことも起こるだろう

12月9日(水)

タイトルは、大林宣彦監督の映画「あした」が公開されたときのキャッチコピー「愛していれば、きっとこんなことも起こるだろう」の捩りである。映画「あした」は、大林監督にしてはめずらしいウェルメイドな群像劇だった。

そんなことはともかく。

仕事のストレスはたまる一方で、精神的にはなかなかキツい状況である。ハードル競走のような連日の会議をいかにして倒さずに走り抜けるか、とか、日々、矢のように降ってくる大小のトラブルをどうやって乗り切るか、と、そんなことばかりやっている。おかげで出勤するのがすっかり憂鬱になってしまった。

しかし人生、悪いことばかりではない。

今日の夕方、愛聴しているラジオ番組をリアルタイムで聴いていたら、昨日僕が番組宛てに出したメールが、またまた読まれた!しかも今回もまた実名である!

敬愛するラジオパーソナリティーが昨日の番組でうちの職場のイベントについて紹介してくれたことへの、お礼のメールを出したのである。

まさか2日続けて、うちの職場のイベントのことを取り上げてくれるなんてことはないよな。だってこの番組は、ほかに取り上げるべき話題が山ほどあるのだもの。

…と思っていたら、ご丁寧に僕のメールの全文を紹介してくれて、しかもそれに対する共感と絶賛のコメントをいただいたのである。

こちらの思いを全面的に受け止めてくれ、しかもその趣旨をリスナーに向けてさらに発信してくれたことが、何より嬉しい。

やっぱり一流の表現者というのはすごいね。僕の拙いメールの内容を、これほどまでに深く広く伝えてくれるのだから。

ここまで僕の気持ちの本質の部分をとらえてくれる人は、なかなかいない。同い年だし、もしどこかで出会っていたら、意気投合して無二の親友になっていたかも知れない、と、そう一方的に勘違いさせるほど、ありがたいコメントだった。ま、そう思わせてくれるからこそ、一流の表現者なのだろうけど。

僕の中では、これで大満足。「祭りは終わった」。

一流の表現者、といえば、もう一つ、嬉しいことがあった。

このブログでも何度か書いたことがあるが、ミュージシャンで文筆家の寺尾紗穂さん。以前、ある本で一緒にお仕事をしたことがあるのだが、面識はない。

僕は寺尾紗穂さんの音楽はもちろん、文章も大好きなのだが、やはりその本で一緒にお仕事をした若い友人が、寺尾紗穂さんのライブのお手伝いをすることになった、という連絡をもらった。

なぜわざわざそんな連絡をくれたのかというと、僕が寺尾紗穂さんの文章が好きだということを知っていて、ちょうどライブをお手伝いするという機会に、寺尾紗穂さんの本に僕宛てのサインをもらってくれる、というのだ。

これまた願ってもないことなので、お言葉に甘えてお願いすることにした。

そして今日。ライブの日。僕が大好きな『彗星の孤独』という本に、サインを書いてもらいましたと、連絡をいただいた。近いうちに仕事で会う予定なので、そのときに受け取ることになるだろう。

敬愛するラジオパーソナリティーと、敬愛するミュージシャン兼文筆家。

どちらもお会いしたことはないが、僕が憧れる一流の表現者である。

その二人から、同じ日に、僕宛てのメッセージをいただく。

「生きていたら、きっとこんなことも起こるだろう」というタイトルの意味は、そういうことである。

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4年越しの物語

11月18日(水)

先日書いた、あるラジオ番組へのお手紙が、なんと今日の番組のオープニングで紹介された!しかもラジオネームではなく、実名である。

ありがたいことに、敬愛するメインパーソナリティの方に、お手紙の全文、つまりA4用紙1枚分をまるまる読んでいただいた。

手紙の内容は、今回のうちの職場のイベントと、そのラジオ番組(正確に言えば、その前身番組なのだが)をめぐる、4年越しの不思議な縁についての物語である。

僕は4年前の出来事を、いつかそのパーソナリティに伝えたいと思っていたのだが、その勇気がなく、そのままにしておいた。それが喉の奥に刺さった魚の小骨の如く、僕の中に残り続けたのだが、先週の水曜日、うちの職場のイベントについてオープニングでたまたま取り上げてもらったことがきっかけとなり、もうこのタイミングしかないと思い、意を決して、いまのイベントの原点が4年前の出来事にあることを伝えることにしたのである。

そしたらあーた、初投稿で初採用である!しかも何度も言うが、実名である!ハガキ職人になれるんじゃないか?

いちばん嬉しかったのは、この4年越しの物語についての感慨や驚きを、メインパーソナリティの方と共有できたことである。メインパーソナリティの方のコメントは、まさに僕が言いたかったことでもあった。なにより、この「種明かし」を4年間熟成させたことについて喜んでもらったことが、リスナーとしては嬉しいことこの上ない。例えて言えば、すべての伏線を回収して大団円を迎えたときのカタルシスである。

ちょっとTwitterのタイムラインをのぞいたら、「むちゃくちゃいい話じゃん」とつぶやいてくれたリスナーもいて、この番組のリスナーは、前身番組のときから、ほんとうにまじめな人が多いなあ、とあらためて思った。だからこそ、僕の地味な手紙のようなものでも紹介していただけたのだろう。

最後の方なんか、「鬼瓦さ〜ん」と、メインパーソナリティから呼びかけられたもんね。もうこれ以上、何を望むことがあろうか。

一つ悩ましいのは、以前に「熱狂的なファン」と紹介されたあのラジオ番組とは、別の番組だということである。いや、どちらの番組も「熱狂的なファン」なんですよ!

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大問題

むかしから、ふかわりょうの、日頃から何かに怯えている感じが、たまらなく好きである。

いまは夕方の帯番組の司会をしているみたいだが、仕事の最中なので、ほとんど見ることができない。

先日、最近愛聴し始めたTBSラジオ「アシタノカレッジ」の金曜日にゲスト出演していたが、いやあ、おもしろかった。

トークなのに目が泳いでいる感じ、というのが十分に伝わったし、それを落ち着いた声で受け止める武田砂鉄氏との会話が、絶妙な雰囲気を醸し出していた。

「三軒茶屋を『三茶』と略す人とは、友だちになれない」

という話から始まるのだが、ふかわりょうによれば、言葉を略すことにより、自分が優位に立っている(今風にいうと「マウントをとる」)ということをアピールされているようで、それがイヤなのだ、と。

その感覚、すげーよくわかるのだ。僕はしばらくの間、「携帯電話」を「ケータイ」と略すのに抵抗があったし、「インターネット」を「ネット」と略すのにためらいがあった。まあそれはともかく。

そこから始まる、ふかわりょうと武田砂鉄氏とのトークが秀逸だった。

ふかわ「すぐ下の名前で呼んで女子と馴れ合えるヤツいるじゃないですか」

砂鉄「大問題ですよね」

とか、

ふかわ「(三軒茶屋は三茶と略すのに)祖師ヶ谷大蔵はなぜ略さないのか」

砂鉄「大問題ですよね」

こういうバカバカしい話題を大まじめで話し合っているおじさん二人、というのが、そこはかとなく可笑しいのである。

ふかわりょうは、瞬発的な笑いを誘う芸人ではない。

語りやたたずまいの中から、人となりを想像し、そこはかとなくおかしみを感じるのである。

つまり、笑いを享受する側には、そのおかしみにたどり着くまで、それなりの忍耐が必要だ。

上岡龍太郎師匠はかつて、「笑いは、愛である」と語っていたが、その忍耐こそが、笑いに対する愛なのではないかと、ふかわりょうを見ていると、そう思う。

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風呂場のまこちゃん

10月24日(金)

高校の後輩のSNSに、「風呂場のまこちゃん」の写真がアップされていたので、僕はビックリして思わず、

「えっ!メール採用されたの?」

とコメント欄に書いたら、

「読まれました」

というではないか。むかしから文才があった人だからなぁ。

「すごい!太田アナに読んでもらったんだ!そして大竹さんにコメントもらったんだ!」

と聞いたら、

「月曜祝日で大竹さんはおやすみだったのですが、太田さんにメール読んでもらって阿佐ヶ谷姉妹にコメントしてもらいました!」

という。なるほど。月曜日が祝日で仕事がおやすみだったから、ラジオをリアルタイムで聴けてたんだな。

そうなると、いつの放送だろう?月曜祝日という手がかりだけを頼りに調べようと思ったが、もちろん音源を探し出すこと自体、もはや困難である。radikoはもちろん、ラジオクラウドにも残っていないようだ。本人に聞くのも野暮なので、それ以上詮索することはあきらめた。

もう一つ不思議なのは、その後輩が住んでいるところは、その番組がネットされていない地域なのではないか?という疑問である。となると、radiko premiumか何かでリアルタイムで聴いていたのだろうか。だとしたらそうとうなヘビーリスナーである。

僕は少しそのあたりを確認してみたくなり、

「太田さんは昨日(10月23日)でフル曜日の出演が最後だね」

とカマをかけてみたら、

「偉くなられたのはおめでたいけど、さみしいですねー。大竹さんが時々ちょっと偏りすぎた発言しても、太田さんがさりげなく上手にバランスとってくださるから、いつも安心して聞けてたんですよねー」

と、完璧な解答。太田アナが編成局長に昇進したことまで知っている。

(うーむ、おぬし、なかなかやるなあ)

と思い、

「猛獣ばかりの金曜日に残ったのは正解だったかも」

と、またカマをかけてみたら、「納得です」的なリアクションをしていた。ということは、今週木曜金曜の放送を聴いて、太田アナが金曜レギュラーとして残ることも当然知っていたということになる。

こうなるともう、降参である。自分の愛聴しているラジオ番組にメールを出して紹介され、「風呂場のまこちゃん」までもらえたというのはうらやましい。

その後輩とは、もう何年も会っていないのだが、同じラジオ番組を聴いているというだけで同志と思えてくるから不思議である。

ちなみに、これはその後輩には言わなかったが、僕はつい今週、このラジオ番組を聴いていて不思議な体験をした。

今週の水曜から金曜までの3日間、都内某所で隔離生活をしていたのだが、そのおかげで僕はその番組をリアルタイムで聴くことができた。

そしたらあーた、今週の「大竹発見伝 ザ・ゴールデンヒストリー」のコーナーでは、いま僕が隔離生活を送っている町、その町に生きる市井の人のエピソードを特集していたではないか!その町でがんばって暮らしている人の姿。なんという偶然!

ちょっとその偶然にうれしくなり、そこでの隔離生活の辛さがほんの少しやわらいだのであった。

ラジオ番組のよさって、そういうところよ。

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漫才の習作

どうもミルクボーイです。お願いします。

ありがとうございます。今、雨がっぱをいただきましたけどもね。こんなん、なんぼあってもいいですからね。ゆうとりますけれどね。

うちのおかんがね、好きなうがい薬があるらしいんやけど。

そうなんや。

その名前を忘れたらしいねん。

うがい薬の名前忘れてまうってどうなってんねん。

いろいろ聞くんやけどな、全然わからへんねん。

ほんだら俺がね、おかんの好きなうがい薬、一緒に考えてあげるから、どんな特徴言うてたかとか教えてみてよ。

おかんが言うにはな、カタカナで4文字のやつやって言うてた。

イソジンやないかい?その特徴はもう完全にイソジンやがな。すぐわかったよこんなもん。

わかれへんねん、でも。

何がわかれへんねん!

俺もイソジンやと思てんけどな、おかんが言うには、オレンジ味やグレープ味があるっていうねんな。

ほな、イソジンと違うか…。イソジンはね、薬品ぽい味がすんねん。オレンジ味とかグレープ味なんて飲みやすいものではないねん。イソジンって、そういうもんやから。イソジンちゃうがなそれ。もうちょっと詳しく教えてくれる?

おかんが言うには、なんでもCMの歌が有名やいうねん。「ただいまのあとは、ガラガラジンジン、ガラガライソジンジン♪」

イソジンやないかい!歌の中で「イソジン」言うてもうてるやん!俺はなんでもお見通しやねんから!イソジンやそんなもんは!イソジンに決まりや!

わかれへんねん、でも。

何がわかれへんねん!

俺もイソジンやと思てんけどな、おかんが言うには、子どもたちが大好きで、夏になると冷たい水で薄めてごくごく飲む言うねん。

ほな、イソジンちゃうやないかい!イソジンはね、子どもがいちばん嫌いな味なの!それにあんなもん、ごくごく飲むもんやないよ。もうちょっとなんか言ってなかった?

おかんが言うにはな、大阪府知事が記者会見で紹介したら、全国で品薄になってパニックになったたらしい。

イソジンやがな。大阪府知事が不用意な発言をしたばっかりに、全国でイソジンが品薄になって、歯医者さんが治療に使ううがい薬が手に入らなくなって困ってしまったんや。まったく迷惑な話や。イソジンや、そんなもん。

わかれへんねん。

なんでわかれへんのそれで。

俺もイソジンや思てんけどな、おかんが言うには、それでうがいをすると新型コロナウィルスに罹らへん言っててん。

イソジンちゃうやないか!イソジンでうがいすると新型コロナウィルスに罹らへん、なんてことはないのよ!そういう根拠のないことを堂々と言うやつがおるのよ、腹立つわ~。 もうちょっとなんか言ってなかったか?

おとんがいうには、イチジク浣腸ちゃうかって。

いや、絶対ちゃうやろ!もうええわ。

どうもありがとうございました。

(※最近はマイルドミント風味やアップル風味のイソジンもあるそうです)

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おかえり、笠井さん

6月30日(火)

笠井さんの声は、想像していたよりはるかに明るかった。今日の文化放送「大竹まこと ゴールデンラジオ」でのことである。

アナウンサーの笠井信輔さんは、2019年9月末にフジテレビを退社し、フリーランスとなったが、その2か月後に「悪性リンパ腫、ステージ4」と診断され、4か月以上にわたる過酷な抗がん剤治療を終え、復帰した。

僕はとりたてて笠井さんのファンというわけではないのだが、2018年5月に、大林宣彦監督にインタビューしたときに、大林監督がふと、笠井さんのことをお話になったことがきっかけで、笠井さんに親近感を持つようになった。

なぜ、笠井さんのお話が出たかというと、東日本大震災のときに笠井さんが取材に行った話を聞いて、その取材姿勢がとてもすばらしかった、と、大林監督が絶賛したのである。

もともと笠井さんは無類の映画好きで、大林監督のファンでもあったそうだ。トークショーで一緒になることが何度もあり、大林監督も、笠井さんに信頼を寄せていたのだろう。それで僕も、笠井さんに対して勝手に親近感を抱くようになった。

その後、笠井さんが病魔に襲われたというニュースを聞いたものだから、僕はかなりショックを受けた。

しかし、今日のラジオから聞こえてくる笠井さんの声は、明るかった。おそらく想像を絶する辛い治療だったと思うのだが、それを持ち前の楽天的な性格で乗り越えることができたのではないか、と思わせるほどのお話しぶりだった。

大林監督も、がんを患ってから、徹頭徹尾、楽天的だった。

先のインタビューの中で、大林監督は、ある女優のお話しをされた。その女優は、がんを患い、余命を宣告され、あるドラマに出演した後、亡くなった。あの人が亡くなったのは、「この作品だけはやり遂げたい」と言ってしまったからだ、「この作品はもちろん、あと30作品くらいは女優として生きていたい」と言えば、いまも生きていたはずだ。がんと共に生きるってことは、そういうことなんだよ、と。

僕は笠井さんの声を聴きながら、大林監督のそのお話しを、思い出したのであった。

聴きながら、さらにいろんなことを思い出した。

僕が3年前の夏に大病を患ったあと、なんとか復帰して、最初の出張先に選んだのは、その年の10月の「前の勤務地」の映像イベントだった。あのときは肉体的にとても辛かったが、おもしろいイベントになり、無理をしてでも出張して本当によかったと思った。その月は、このほかに遠方の出張が3件ほどあり、このブログでもそれとなく書いたが、いずれも肉体的にかなり辛かった。でもこれまでお世話になった人への恩返しみたいな出張だったので、行ってよかったと思った。

僕は残念ながら楽天的な性格ではない。笠井さんの声を聴いて、僕ももう少し楽天的に生きないとな、と思い直した。

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話術の真骨頂

6月27日(土)

TBSラジオ「久米宏 ラジオなんですけど」が、とうとう終わってしまった。

小学生の身で「久米宏の土曜ワイドラジオ東京」を折りにふれて聴いていた頃からのリスナーとしては、じつに寂寞たる思いである。

といっても、熱心なリスナーというわけではなく、時間があるときにラジオクラウドで聴いていたくらいなのだが。

最終回のひとつ前、つまり先週6月20日(土)放送のオープニングで、久米さんの話術にハッとさせられた体験をしたので、書きとどめておく。

番組のオープニングは「空白の12分」といって、久米さんが12分間のフリートークをすることになっている。

話題はひとつではなく、あちこちに飛ぶので、聴いている方はそのジェットコースターのようなトークに翻弄されるのだが、先週の回も、話題があちこちに飛んだ。

フリートークの最後のほうで、久米さんが、

「TBSラジオの社長から手紙が来たんです」

と、意味深に言う。

聴いていた僕は、番組が終わるにあたってTBSラジオの社長が久米さんに何らかのメッセージを書いたのではないかと想像してしまう。たぶん多くのリスナーがそう感じたのではないだろうか。

アシスタントの堀井美香アナも、そのことを初めて聴いたらしく、「まさかここで読むんですか?」と、手紙の内容が気になって仕方がないといった様子である。

「あたり前じゃないですか。僕に来たんですから」といって、久米さんはその封書を開き、少し間を置いて、その手紙を読み始める。

「謹啓、梅雨の候、愈々ご清栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご芳情を賜わり、厚く御礼を申し上げます。

さて!…」

ここでまた間が開く。

「さて…?」ここからが本題か?

「さて、6月17日に開催されました定期株主総会ならびに取締役会の決議におきまして、次の通り役員を選任したうえで、それぞれ決定し、就任いたしましたことをご報告いたします」

ここで聴いている僕は脱力する。堀井アナも思わず吹き出す。なんだよ!株主総会の報告の定型文かよ!それ、久米さんだけに出したやつじゃなくて関係者みんなに送った儀礼的なやつじゃん!

ここで肩すかしを食らうのである。

これがオチなのかな、と思いきや、久米さんは引き続きその「手紙」の内容を紹介する。

「会長がお一人、代表取締役社長がお一人、常務取締役がお一人、取締役が四人、監査役が一人、全部で八人、お名前が書いてあります。

…全員、男なんですよ」

僕はここでハッとする。

そうか、久米さんが言いたかったのはここなのか。

「一言でいうと、ちょっと時代遅れ。放送局って、一応時代の先端を走っている企業であるはずなのに、役員全員が男ってのはねえ…時代に敏感でなければならない放送局なんだから、せめて役員に女性を何人か入れてほしかったですねえ」

そう言って、フリートークを締めくくった。

僕はこの、何ということのないフリートークについて、深く考えてしまった。

最初に、「社長から手紙をもらった」と意味深なことを言って、リスナーにいろいろな想像力を働かせておいて、実は、何の変哲もない、株主総会の報告文だった、というオチ。

だが、そこで終わらないのだ。その、何の変哲もない儀礼的な報告文の中に、問題点を見つけ出し、リスナーに問いかけるのだ。

しかも今回の場合、自分の古巣であり、現在番組を持っている放送局に対する臆せぬ批判にもなっている。

ここまでが、ひとつのパッケージである。

最初に意味ありげなことを言って、期待を持たせておいて、肩すかしを食らわせる。しかし最後に、ハッとしたことを言う。そしてそれが、停止していた我々の思考を揺さぶるような内容になっている。

たぶんこれが、久米さんの話術の真骨頂なのではないかと思う。

こういうまどろっこしい話術を自在に扱えるラジオパーソナリティーは、久米さんをおいてほかにいないんじゃないだろうか。

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永遠のラジオDJ

6月26日(金)

TBSテレビの金曜ドラマの新番組が始まるというので、観ることにした。

もう最近は、ドラマのタイトルが覚えらんない。何というタイトルのドラマなんだろうと思って調べてみたら、「MIU404」だった。

…といわれても、タイトルの意味すらわからない。もうこうなると、完全なおじいちゃんだな。副題が「機動捜査隊」とあったので、刑事ドラマだということがわかる。しかもいわゆるバディもの。

「機動捜査隊」といえば、テレビ朝日の「特捜最前線」の前身番組(というか「特捜最前線」が後身番組なのだが)の「特別機動捜査隊」が有名であるが、まあ若い人は知るまい。僕だって観たことがない。

ふだん、ドラマなんかすすんで観ようとは思わないのだが、このドラマを観たかった理由は、星野源や綾野剛が主演だったからではない。

第1回のゲスト俳優として平野文さんが出ていたからである!

ちょっと前に、TBSラジオ「伊集院光とラジオと」で、平野文さんがゲストで出ていた。そのときに、このドラマの第1回にゲスト出演します、という告知をしていたので、「これは観なければ!」と思ったわけである。

平野文さんといえば、たぶんほとんどの人が「うる星やつら」のラムちゃんの声優として認識しているだろう。

だが僕は残念ながら、「うる星やつら」のアニメを観たことがない。もちろん、ラムちゃんの声が平野文さんである、ということは知っている。

僕の中では、平野文さんは、憧れのラジオDJなのである。

前にも書いたが、小学校の頃、僕がよく聴いていたNHKのラジオ番組に、平野文さんが出演していた。小学生の僕にとって、平野文さんは「ラジオのおねえさん」だったのである。

文化放送の「走れ歌謡曲」という、深夜3時から5時まで、長距離トラックの運転手さんしか聴かないような時間帯の番組にも、平野文さんはDJをしていたと記憶する。さすがにそれを頻繁に聴くことはできなかったが、何とかがんばって深夜3時まで起きていて、オープニングだけ聴いてから寝たことが、何回かある。小学生の時ですよ!

僕がラジオを聴いていた頃とほぼ同じくらいだったか、アニメ「うる星やつら」が始まって、すげえブレイクしたのだが、僕はなぜかアニメを観ることはなかった。あくまでもラジオDJとしての平野文さんが好きだったからだろう。

その後、平野文さんは、築地の魚河岸のところに嫁いで「魚河岸の女房」になってしまい、そのまま遠ざかってしまったのであった。

で、先日、「伊集院光とラジオと」で、久しぶりに平野文さんのトークを聴いて、

「声、全然変わってねえ~!」

と、たいへんビックリしたのである。伊集院光氏との丁々発止のやりとりも、僕が小学生の時にラジオ番組で聴いた頃の印象とまったく変わっていない!

で、僕はとたんに、小学生の頃の自分に戻ったのであった。

これはドラマを観なければならない!となったわけである。

どんな役で出演されるのだろうか、と、まったく知らずに観ていると、孫娘のためにプレゼントを買った帰り道、歩道を歩いていたら、横をものすごいスピードで自動車が走り去っていくことにビックリして、思わず転倒してしまったおばあちゃん、という役だった。

えええぇぇっ!!!平野文さんがおばあちゃん!!??

僕はビックリしたが、たしかに声は平野文さんである。

考えてみれば、僕よりも15歳も年上なのだ。おばあちゃんの役をやって、何ら不思議ではない。

たとえおばあちゃんの役を演じていても、僕にとっては、小学生の頃と変わらず、永遠のラジオDJである。

ラジオ番組、またやってくれないかなあ。

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趣味・特技

昨日、ようやく一本、原稿を出したという話を書いた。

原稿といっしょに、「執筆者紹介」というのを書かなければいけないみたいで、その様式に沿って、いろいろと書いていたら、執筆者紹介の項目の中に、

「趣味・特技」

を書く欄があった。

えええええぇぇぇぇぇっ???!!!

今どき「趣味・特技」を書くなんて、昭和かよ!

お見合いをするんじゃないんだから!

そもそも、原稿の内容と何の関係があるんだ?まったく関係ないじゃないか!

読者はそれを知ったところで、どうするんだ?

「へえ、鬼瓦さんという人には、そういう一面があるのか?意外!」

って、読者はそもそも、俺のことをどれほど知っていたというのだ?

しかも「特技」って何だよ!「コーラの一気飲み」とか、そういうヤツ?

こういうことを聞かれるのがいちばんつらいのだ。

だってこちとら無趣味なんだもん!びっくりするほど、趣味がないのだ。

鉄道マニアでもないし、切手集めもしていないし、動物も飼っていないし、ロードバイクも挫折しちゃったし、お酒もやめちゃったし、麻雀もやらないし、ゴルフもやったことがない。

…まったく思いつかない。

いっそ書かないまま出そうとも思ったが、それもまた大人げないと思い、

「映画、演芸、ラジオ、アルトサックス」

と書くことにした。

でもこれも、大嘘なんだぜ。映画が趣味といっても、映画なんてほとんど見ていない。先日思い返してあらためて驚いたんだけど、「ロッキー」とか「バック・トゥ・ザ・ヒューチャー」とか「インディージョーンズ」とか「エイリアン」とか「ターミネーター」とか、そういう有名どころの映画を、ちゃんと見たことがないのだ。

これでは映画が趣味ですとは、とてもいえない。

子どもが生まれてから、映画館で映画を見る機会はめっきり減ってしまったし、いまはかろうじて、TBSラジオ「たまむすび」火曜日の町山智浩さんの映画コーナーを毎週聴くぐらいなものである。

演芸も、いまは「伯山ティービィー」を見るくらいだ。演芸場に足を運んだこともない。いまは落語では一之輔師匠が飛ぶ鳥落とす勢いらしいが、ちょっとあの無愛想な雰囲気(それが持ち味なんだろうけれど)にどうもなじめず、いまだに一之輔師匠の落語を聴けていない。

ラジオも、全然マニアなんかじゃない。TBSラジオのいくつかの番組を、時間があるときに聴く程度。だが「久米宏 ラジオなんですけど」が今月末で終わっちゃうので、「荒川強啓 デイキャッチ」に続き、また1つ、聴いていた番組が減ってしまった。あとは文化放送の「大竹まこと ゴールデンラジオ」を聴くくらい。

特技として「アルトサックス」と書いたが、これも大嘘。むかしかじっていたという程度である。いまはまったくやっていないので、とくに思い入れがあるわけでもない。

…というわけで、まったくの大嘘を書いてしまった。ま、お見合いをするわけでもないので、実害はないだろう。

いったい何を書けば正解なんだろう。

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